■ハンドリングの機敏さとハイブリッドの堅実さを合わせ持つNX
例えばレクサスNXは、SUVとあって全高は1660mmに達しており、車両重量も1600~2000kgだ。
このような背が高く重いボディに、機敏に反応するステアリングを組み合わせると、走行安定性に良くない影響を与えてしまう。そのためにSUVの操舵感は、マイルドに仕上げることが多いが、レクサスNXは機敏に反応する。
レクサスNXで峠道を走ると、良く曲がる代わりに後輪の接地性が少し下がりやすい場面もあるが、挙動変化が穏やかに進むから不安はない。クルマ好きのユーザーが運転すると、アクセル操作によって車両の進行方向を内側へ向けやすく、積極的に楽しく走れるだろう。
このようにレクサスのSUVでは、高重心の重いボディが生み出す少し大きな挙動変化を、運転する楽しさに結び付けている。直進安定性を重視するメルセデスベンツなどに比べると、レクサスのSUVは想定する速度域が少し低く、その代わりにドライバーの操る自由度や楽しさを尊重している。
レクサスはトヨタが展開するブランドとあって、ハイブリッドシステム搭載車も豊富に用意した。最も多く採用されているタイプは、直列4気筒2.5Lのハイブリッドだ。加速が滑らかで燃費性能も優れ、レクサスNX350hのWLTCモード燃費は、2WDの標準仕様になると22.2km/Lに達する。
NX450h+は、2.5Lをベースにしたプラグインハイブリッドを搭載しており、駆動用電池の総電力量は18.1kWhだ。1回の充電によって88kmを走行できる。
■レクサスSUVで最上級のパワーユニットを持つRX
また新型になるレクサスRXは、直列4気筒2.4Lターボエンジンをベースにした4WD専用の高性能な新しいハイブリッドシステムを用意する。
クラウンクロスオーバーRSが搭載するタイプと基本的に共通で、ハイブリッドながら6速MTが採用され、高い動力性能と気持ちの良い変速を楽しめる。このシステムは、レクサスRXでは500h・Fスポーツパフォーマンスに搭載され、レクサスのSUVでは最上級のパワーユニットだ。
このほかレクサスRX350hは、2.5Lをベースにした買い得なハイブリッドシステムを搭載して、RX450h+は、2.5Lをベースにしたプラグインハイブリッドを採用する。複数のハイブリッドを用意することも、レクサスに設定されたSUVの特徴だ。
車種とグレードのバリエーションや価格帯も幅広い。最もコンパクトなUXには、直列4気筒2Lノーマルエンジンを搭載するUX200も用意され、ベーシックな標準仕様の価格は400万3000円だ。
プレミアムブランドに属する輸入SUVでは、大半の車種の価格が450万円以上で、メルセデスベンツGLAも最も安価な180が532万円に達する。レクサスなら、求めやすい価格でプレミアムなSUVが手に入る。
■「レクサスのランクル」高い走破性能を持つLX
UXのようなコンパクトで割安なSUVを用意する一方で、本格的な悪路向けのLXも選べる。
LXは耐久性の優れたラダーフレームに、エンジン、サスペンション、ボディなどを組み付けており、ショックアブソーバーからブレーキまで綿密に電子制御される。これらのメカニズムにより、砂地、泥道、岩場など、さまざまな悪路に応じて優れた走破性能が発揮される。
レクサスLXの優れた悪路走破力の背景には、ランドクルーザーの存在もある。
後輪駆動ベースの本格的な4WDを備えた生粋の悪路向けSUVで、その歴史はクラウンよりも長い。「トヨタジープ」の車名で販売されていた時期まで含めると70年を超える。トヨタが長年にわたりSUVの技術を蓄積させたことで、レクサスLXも高性能を発揮できた。
しかもレクサスLXは、高い悪路走破力を備えながら、舗装路における走行安定性や乗り心地は前輪駆動をベースにしたSUVに近い。大柄なボディでありながら、運転しやすく、高速道路などで危険を避ける性能も優れている。
基本的なメカニズムはランドクルーザーと共通だが、チューニングはレクサスの世界観に基づいて行われ、運転感覚やデザインがほかのレクサスブランドの車種と統一されている。
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以上のようにレクサスのSUVは各車種ともに個性的で、ブランドの主張も明確に発信され、幅広いユーザー層から支持されている。その根底には、トヨタ車の使いやすさ、親しみやすさがある。そこにプレミアムブランドの上質感と運転の楽しさを加えることにより、輸入車とは違う独自の世界観を構築できた。
登録台数は新型コロナウイルスによる納期の遅延で低迷するが、レクサスNXは、2022年に1か月平均で約1000台を登録している。プレミアムブランドとしては、堅調な売れ行きだ。
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