飲酒運転はハンドルを握るドライバーにとって絶対に許されない行為。が、本人はそのつもりがなくても、知らぬ間に体内にアルコールが残っている「酒気残り運転」となる可能性もある。
2022年10月からアルコールチェッカーによる酒気帯び確認が白ナンバー事業者にも義務化される予定だったが、警察庁は予定していた同年10月から延期することを正式決定している。検知器が市場に流通する見通しが立たないため延期する期間は未定とのことだが、国沢光宏氏に私見を伺った。
本文/国沢光宏、写真/AdobeStock(トビラ写真:show999@AdobeStock)、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】忘年会を目前に控え、改めて考えたい! アルコールチェッカーの義務化導入について(4枚)画像ギャラリー■本来は2022年10月から義務化が始まるはずも延期に
そろそろ忘年会のシーズンに突入する。今や飲んだ後に運転するという人は”ほぼ”絶滅しているため「飲んだら飲むな!」みたいなヤボなことなど書かない。問題になるのは翌日です。多くの人が寝れば酔いは醒めると思っている傾向。
それを防ぐため、当局は2022年10月から事業所単位で運転前と運転後のアルコール検知器によるチェック&1年間の記録を義務化しようとした。実際はアルコール検知器の入手難という理由により、10月からの義務化を延期している。
しかし! 半導体不足の今でもアルコール検知器は豊富に出回っており、義務化は不可能じゃないと思う。参考までに書いておくと、私は10年以上前からアルコール検知器を使っており、「検知器評論家」でもある。相当詳しいです。不思議に思って調べてみたらさまざまなことがわかってきた。
■アルコール検知器は価格によって当然性能差ありだが……
まず、怪しいのは「アルコール検知器なら何でもいい」という規定。義務化についての文章を読むと、アルコール検知器は「呼気のアルコール濃度を測る」と「濃度を警告音や警告灯、数値等で示す」こととある。
これ、現在流通しているアルコール検知器すべてがそうなっている。というか常識的に考えたら、上の条件を満たさなければアルコール検知器になってないワな。
それなら流通しているアルコール検知器がすべて正しいかとなれば、明確に「いいえ」。なんせアルコール検知器といっても高い製品は10万円くらいする。方や、安い製品だと1000円以下で入手可能。
私は下を見て20機種くらい試しているけれど、やはり相当の性能差出てしまう。同時に使ったのに、一方は「酒気帯び運転」で一方は「問題なし」というケースすら少なくない。
現在、私が使っているアルコール検知器は多くのメーカーのなかから「コストパフォーマンスを考えたらこれですね!」と選んだもの。なのに、前述のとおり現時点ではアルコール検知器の性能についての基準なし。このまま義務化したって、使うことだけしか意味がないということになる。おそらく当局もアルコール検知器の実状を遅ればせながら認識したんだと思う。
もうひとつ。アルコール検知器の使い方にも問題がある。現在、アルコール検知器を買う人は基本的に「アルコールが出たら運転しないぞ!」という良識派。したがってアルコールを検知できるよう、マニュアルどおりに使う。
けれど、「アルコール出たらイヤだな」と思えば、適当に使う。安価タイプのアルコール検知器だと、センサーに吹きかける呼気の方向で簡単に数字が変わってしまう。
具体的に書くと、センサーが検知するまで一定時間、同じ強さで同じ方向に呼気を吹かなければならない。確実にアルコールを検査するのなら、呼気全量をチューブなどに吹き込み、その先にセンサーが付いているタイプじゃないと意味なし。アルコール検知器と言ってもさまざまなタイプあるし、何でもいいから使えばOKというのも水が溜まらないザルみたいな内容だと思う。
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