山岳地などに道路を通すには欠かせないトンネル。あの中を走行していると、一定区間ごとに「非常口」があることに気づく。万一トンネル内で崩落や火災などが起きた際に脱出路となる重要な設備だが、はたしてあの非常口を通ると、どこにつながっているのだろうか?
人里離れた山中とかに放り出されたりしないのだろうか? 気になって夜も眠れないという人のために(?)解説しよう!
文/ベストカーWeb編集部、写真/NEXCO東日本、AdobeStock(トップ画像=sai-chan@AdobeStock)
滑り台で避難する場合も!
まずは身近な首都高から説明しよう。首都高のトンネルにはおよそ350mおきに非常口がある。この非常口にはスライド式の耐火扉があって、それを開くとトンネルと並行する避難通路がある。この避難通路をたどって外部に出られるのだが、どこで外に出られるのかは周囲の地形やトンネルの長さによって異なる。
たとえば日本一長い道路トンネル(世界でも2位)として知られる首都高中央環状線の山手トンネルなどは、長さが18.2kmもあるため仮に中央付近から坑口まで歩くとなったら大変だ。
そこで避難通路の複数の場所に階段が設けられていて、その階段を上ると、地上の山手通りにある歩道や中央分離帯に出られる仕組みになっている。
いっぽう東京港トンネルのように海底を通るものや比較的距離の短いトンネルは、階段を作らずに坑口付近まで歩き、換気口などに付随する出口から外に出る仕組みだそうだ。
また避難通路は車道が通る本坑のすぐ脇にあるのが一般的だが、トンネルの工法や構造によって別のパターンもある。たとえば東京アクアラインや首都高の横浜北線などは、丸い筒の中を車道が走っていて、避難通路はその車道の地下になる。ここへのアクセスはなんと滑り台!
非常口入口にあるボタンを押すと跳ね上げトビラが持ち上がり、そこから滑り降りる仕組みだ。なぜ階段にしないかというと、将棋倒しを防ぐためだという。
首都高の非常口はトンネルだけではなく、高いところを走る高架線にも作られている。言われればそりゃそうかと思うのだが、確かにレインボーブリッジの上で立ち往生したらトイレにも困る。そんなときのために、地上におりる非常階段が一定の距離ごとに設けられているのだ。
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