ドライバーのみなさんがイメージするトンネル内を照らす照明の光は何色だろうか? オレンジ色、それとも白色?
ベテランドライバーなら、トンネル内でオレンジ色の照明が使われている理由として、日中、トンネル外からトンネルに入った時(その逆もあり)に急激な明るさの変化を防ぐため、またはオレンジ色のほうが遠くまで見える、と聞いたことがあるかもしれない。
しかし、最近、高速道路のトンネル内にあるオレンジ色の照明が減ってきている印象がある。なぜなのだろうか?
そこで、これまでトンネル内にオレンジ色の照明が広く採用されてきた理由を含めて、トンネル内における照明の最新事情をモータージャーナリストの岩尾信哉氏が解説する。
文/岩尾信哉
写真/首都高速道路 Adobe Stock
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半世紀支え続けたオレンジ色のトンネル照明
トンネル内のオレンジ色の照明ランプが減ってきた理由を探るに、まずはなぜトンネル内でオレンジ色の照明が使われてきたのかを確認していこう。
トンネル内のオレンジ色の照明には、主に低圧ナトリウムランプが使用されている。1960年代から普及したこのランプは、ガラス管にナトリウムの蒸気を封入したもので、放電によってオレンジ色の光を発する。
オレンジ色を選択したのは、トンネル内に漂っている排ガスや塵、細かいゴミなどの影響を受けにくく、光が通りやすいためだ。
ホールや体育館で使われている水銀ランプと比べると、消費電力が30~50%程度と経済的であり、耐用期間(寿命)が長かった(約9000時間:約1年)。オレンジ色の光が虫を引き寄せにくいこともあって、2000年代以前までに広く使用されてきた。
続いて1995(平成7)年から使われるようになった高圧型ナトリウムランプは、低圧型から明るさを向上させ、耐用期間を2万4000時間(約3年)まで延ばした。
低圧型に比べて総合効率は同等で、交換サイクルの長さゆえ、後述する新たな光源が設置され始めてからも現役であり続け、2010年(平成22)頃まで広く使われていた。
ちなみに、オレンジ色のランプのため赤が黒っぽく見えてしまうという欠点があるため、トンネル内で設置されている消火栓は蛍光の赤色で塗装することによってオレンジ色の光の中で赤に見えるように工夫している。
このようにナトリウムランプは半世紀以上も近く主要なトンネル内に使われ、まさにトンネル照明の定番であり続けている。
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