■よりハードなオフロード仕様を求める声に応えて誕生した「ウィルダネス」
欧米日韓の各メーカーがミッドサイズSUVとコンパクトSUVにおける商品の差別化を探るなかで、例えば「RAV4」はラギッドな外観と激しいオフロード走行にも耐えうる強靭さを強調した。
そうしたなかで、モデルのグレード、または特別仕様車のような位置付けで、より高いオフロード性能に振ったSUVが登場するようになっていく。
こうなってくると、例えばスバルの場合、そもそもがフルタイム四駆でのオフロード走破性能をウリにしてきたのだから、四駆性能を満喫できる「もうひとつ上のモデル」を求める声がユーザーと販売店からアメリカ現地法人のSOA(スバル・オブ・アメリカ)に挙がってきた。
そこで、SOAとして北米モデル間を横断できるようなブランドとして「ウィルダネス」を設定したのだ。
スバル本社、およびSTI本社関係者に「日本でウィルダネス導入の計画はないのか?」とこれまで何度か聞いているが「あくまでもアメリカでの需要を見据えて設定したものであり、日本導入について現時点で計画はない」という回答に終始している。
日本でも最近はSUVシフトが進んでおり、またコロナ禍でキャンプブームが再燃しているなかで、よりハードなメーカーオフィシャルなオフロード仕様を求める声はあるのだが、四駆が主体のスバルでさえ、ウィルダネスの日本導入の最終決断ができない状況だ。
■日米でのオフロード系SUV市場、最大の違いは?
その背景が、「実際に走れるところがない」ことだ。これが、日米でのオフロード系SUV市場における決定的な差である。
アメリカの場合、ロサンゼルス市街やニューヨーク・マンハッタンなどの大都市でも、クルマで2時間程度走ると、周囲はのんびりとしたカントリーな雰囲気になってくる。それが、シアトル、デンバー、ダラス、アトランタなどの地方都市になれば都市部から1時間程度の移動で本格的なオフローダーの魅力が満喫できそうな土地が目の前に広がる。
ただし、その多くは走行使用許可がなければ気軽にオフロード走行をすることはできない。とはいっても、そうした広大な土地の所有者のなかには、自らがオフロード走行が趣味である人もいたり、有料で走行を可能とする事業化したりしている場合もある。
いずれにしても、アメリカでは日本とは大きく違い、オフロード走行を楽しめる可能性がある土地がたくさんあるということだ。
メーカー各社によると、アメリカの四駆ユーザーでは「最近の四駆モデルの基本性能が上がったこともあり、けっこう本格的なオフロード走行を楽しんでいる人が少なくない」という。
このように、アメリカでは広大な土地があり、かつユーザーからオフローダーに対する充分な需要があることがベースとなり、メーカーオフィシャルな本格的オフロード仕様車が発売されているのだ。
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