愛され続けて20年「モノより思い出」を体現し続けてきたセレナの凄さとは?

プロパイロット2.0の搭載よりも驚いた、純ガソリンモデルの用意

 新型セレナのトピックは、最上位グレード「e-POWER LUXION(ルキシオン)」に標準装備となる「プロパイロット2.0」と、第2世代e-POWERの搭載、新開発のシートと高剛性サスペンションによる「クルマ酔い軽減技術」の採用などだ。

 プロパイロット2.0は、高速道路のナビ連動ルート走行と同一車線でのハンズオフ機能、つまりハンドルから手を放した運転が可能となる機能で、日産車として3モデル目の採用(スカイラインとアリアに続く3モデル目だが、スカイラインはプロパイロット2.0搭載グレードが生産終了となったため、現時点はこのセレナe-POWER LUXIONとアリアのみ。LUXION以外のグレードは、通常のプロパイロット(プロパイロット1.0)となる)。もちろんミニバンでは世界初搭載だ(トヨタ「ノア/ヴォクシー」のハンズオフ走行は、渋滞時のみ)。

 第2世代e-POWERについては、すでにノートやエクストレイルで採用されているものだが、発電用エンジンに先代よりも出力を16%アップして低騒音を狙った新開発の1.4L 直3ガソリンエンジンを採用。組み合わせるEM57モーターも出力を20%アップさせたことで、先代よりも静かでなめらかな走りが可能に。静粛性の向上は、クルマ酔いの軽減にもつながっている(騒音下での会話には集中力が必要であり、クルマ酔いにつながることがある)。クルマ酔い軽減対策はほかにも、e-Pedal stepの特性を見直したり、サスペンション特性を見直すことで、頭の振られを抑制したりしている。

 ただ、新型セレナで、もっとも驚いたのは、純ガソリンモデルも用意されたことだ。キックスやノート、エクストレイルがe-POWER専用モデルだったことから、セレナでもそれを貫いてくると思われたが、まさかの純ガソリンモデル登場となった。国内販売を支えるノートが全車e-POWERとなったときに本当にそれでよいのかと大いに心配させられたが、国内販売のもう一つの柱であるセレナでは、純ガソリンモデルが残されることとなり、正直ほっとした。

2.0LガソリンモデルのセレナX・XV。ノア/ヴォクシーやステップワゴンでは消滅した、5ナンバーサイズだ
2.0LガソリンモデルのセレナX・XV。ノア/ヴォクシーやステップワゴンでは消滅した、5ナンバーサイズだ

幅広い家族にセレナで楽しい思い出をつくってほしい

 新型セレナのライバルである、トヨタ「ノア/ヴォクシー」、そしてホンダ「ステップワゴン」にも、純ガソリンモデルはあり、純ガソリンモデルがあることは、セレナだけの魅力ではないのだが、セレナにも安価なガソリンモデルが残されたことは、大いに意味がある。

 先に触れたように、セレナは歴代に渡って、「モノより思い出。」を大切にしてきた。今回の新型セレナで、クルマ酔い軽減に力を入れたのは、限られた家族時間を惜しみなく楽しむためだそう。もちろん、LUXIONのようなミドルクラスミニバンというクラスを超えた価格(LUXIONは479万8200円)のモデルもあるのだが、比較的安く購入できる純ガソリンモデル(ガソリンXで、276万8700円)も用意することで、幅広い家族にセレナで家族時間を楽しんでほしい、ということなのだろう。

 そのビジョンはデザインにも表れている。ノアやヴォクシーは大開口グリルの堂々とした存在感のあるフェイスが特徴だが、これは「ファミリーカーでもカッコいいクルマに乗る」というステータス性にもつながっている。それに比べて新型セレナは、男性的でも女性的でもなく中性的な雰囲気で、先進性や洗練されたイメージが強い。先進的なイメージで所有欲は満たしつつも、優先すべきなのは家族、というメッセージが伝わってくるようなデザインなのだ。

ライバルのヴォクシーは「オラオラ顔」が人気だ
ライバルのヴォクシーは「オラオラ顔」が人気だ

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 先代セレナにいち早くプロパイロットを搭載したのは、リーズナブルなクルマに搭載することで、先進運転支援システムを幅広い人に体験してもらうため。e-POWERも、ノートが最初だったが、その次に搭載されたのはセレナだ。先進技術を幅広い人たちに届け続け、「モノより思い出。」を体現するセレナ。次はどんな「経験」を庶民に提供してくれるのか、非常に楽しみだ。

【画像ギャラリー】初代から新型まで!セレナの歴史を画像で見る(23枚)画像ギャラリー

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