いまや課税の根拠を失った、自動車重量税・ガソリン税などの「道路特定財源」。2009年に撤廃されてからは一般財源として、いまだなし崩し的に徴収され続けている。クルマと税金の話題では避けて通れないこの「道路特定財源」を斬る!
※本稿は2022年11月のものです
文/渡辺陽一郎、写真/AdobeStock(メイン写真=tokyo studio@AdobeStock)
初出/ベストカー2022年12月26日号
■2009年に撤廃されているのになぜまだ徴収する!?
クルマのユーザーは複数の税金を負担するが、そのなかには、課税する法的な根拠を失っている税目もある。
それが「道路特定財源」として創設された税金だ。
自動車重量税、燃料の価格に含まれるガソリン税などは、道路の建設や整備に充てる税金として生み出された。
この背景には「道路の恩恵を受けるのはクルマのユーザーだから、税金も負担すべき」という考え方がある。
しかし道路特定財源制度は2009年に撤廃され、前述のとおり課税根拠を失った。
それなのに今でも徴税が続き、一般財源(普通の税金)として使われている。つまりクルマのユーザーは、多額の税金を不当に徴収されている。
また道路特定財源だった自動車取得税は、消費税が10%になったら廃止されることになっていた。
確かに廃止されたが、同時に「自動車税環境性能割」という、自動車取得税とほぼ同じ税金の徴収が開始された。
要は元・道路特定財源の自動車取得税は、名称を変えて、今でも徴収され続けている。
わかりにくいのは燃料に含まれる税金だ。レギュラーガソリン価格が1L当たり120円だった時代には、ガソリン本体の価格は半額以下の約52円だった。
残りの約68円はすべて税金で、この内の53.8円を占めるガソリン税は、元・道路特定財源だ。燃料には多額の税金が含まれ、軽油が安くガソリンは高い価格差も、税額の違いに基づく。
例えば今のレギュラーガソリン価格は1L当たり約160円、軽油は約140円だが、本体価格はガソリンが約89円、軽油は約95円だ。本体価格はガソリンが安いのに、税額の違いで軽油を上まわる。
トリガー条項もマトはずれだ。トリガー条項とは、ガソリン価格が3カ月連続で1L当たり160円を超えたら、ガソリン税に含まれる特例税率(財源不足による税額の上乗せ分)を停止するものだが、そもそもガソリン税自体が課税根拠を失っているからだ。
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