■手数料値上げやICタグ故障の危険性などのデメリットも
一方、デメリットはいくつかある。まず、電子化に伴い、2023年1月1日から各種手数料が手続きの種類により50円~500円程度、引き上げられる!(デジタル化にはコストがかかる……)
また下記の情報は、車検証には記載されず、アプリでしか確認できなくなる。
・車検証の有効期間
・所有者の氏名・住所
・使用者の住所
・使用の本拠の位置
上記4点は、車検証の券面からは消えて、ICタグに格納。住所や氏名などは車検証を見なくても困らないかもしれないし、有効期限も車検シール(検査標章)でもわかるので、問題ないといえば問題ないが……。
なお、スマホやパソコンを利用できないユーザーが、ICタグの情報を確認したい場合、制度開始から最低3年間は従来の車検証と同等の情報が記載されている「自動車検査証記録事項」が渡されるので、それをチェックするといい。
あとはこうしたデジタル化につきものの個人情報流出のリスク。これはユーザーサイドでは防げないので、国土交通省の厳格な運用に期待するしかない。
さらにICタグの故障や破損の可能性も考えられる。電子車検証になっても、車両運行時には車検証を携帯する義務はあり、真夏に高温・多湿になる車内に長期間入れっぱなしにしておくと、場所によってはICがダメになることも。
国土交通省からも、「従来の車検証と同様にダッシュボードの中等に保管いただいて構いませんが、ダッシュボードの上等、過度な高温になる場所に長時間放置することは避けてください」とアナウンスがでている。また、IC部分を折り曲げるのは当然NGだ。
■軽自動車用の電子車検証は2024年1月スタートの予定
自動車整備工場などにとっては、電子車検証になることで継続検査や、券面記載事項の変更を伴わない、変更登録、移転登録などは出頭不要になるので、時間的にも人材的にも助かる面が増えるはず(代書屋さんはピンチ!?)。
そして、この電子車検証が導入されることで、国土交通省が2005年から導入しているOSS(ワンストップサービス=自動車関係の各種手続きや税金・手数料の納付をオンライン上で行えるようにしたサービス)を本格的に普及させていくという狙いもあるようだ。
もうひとつ、ICタグ空き領域の利活用について。電子車検証に搭載されるICタグには車検証情報の記録領域とは別に、アプリケーションの搭載が可能な記録領域を設けられている。
これらは将来的な利用を見越して用意されているわけだが、現時点では未定で、ICの空き領域の具体的な利活用方法については、今後検討していくとしか発表されていない。
最後に軽自動車の電子車検証についても触れておこう。軽自動車の車検証交付は国土交通省ではなく、軽自動車検査協会が主体なので、電子車検証の導入タイミングも少々異なる。
軽自動車の車検証の電子化は、2023年12月31日まで経過措置がとられた上で、2024年1月から開始される見通しだ。
【画像ギャラリー】車検証の電子化でどんなメリットやデメリットがあるのか?(4枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方電子車検証の講習に行ったが、整備士には関係のない話で、一番重要な経営者がその講習に出ないことには何も始まらない
質疑応答の用紙を見て笑ったのが「保険会社」のやり取りが、完全でないこと
何のための電子車検証なのか?