■燃費スペシャルを続けるのは厳しかった
現実的な課題もある。燃費性能は無限に向上できるものではなく、プリウスのボディサイズを踏まえると、従来型でも限界に達しつつあった。燃費性能をさらに向上させようとすれば、軽量化で装備が貧弱になったり、転がり抵抗を極端に抑えたタイヤの採用で乗り心地が粗くなったりする。
燃費の向上率が小さい割に、機能の悪化が目立ってくるから、商品としてはマイナス面が大きくなる。前述のJC08モード燃費が40km/Lに達した先代プリウスEも、売れ行きは芳しくなかった。商品力のバランスに基づき、燃費スペシャルから脱した事情もある。
販売店の見解はどうか。プリウスの燃費について尋ねると、以下のように返答された。
「先代プリウスはボディの重い上級グレードでも、実用燃費は十分に優れていた。そのためにプリウスは、燃費の良いクルマとして完全に定着している。プリウスの燃費に不満を持つお客様はいない。新型についても、燃費数値の伸び悩みを指摘されたことはない」
今さら燃費数値を追求しなくても、プリウスの燃費に対する満足度は高い。それならば、外観のカッコ良さ、走りの楽しさなど、5ドアクーペ的な魅力を追求した方が新型プリウスの価値や存在感を表現しやすい。
新型プリウスが先進的なハイブリッドで、低燃費が当たり前になったからこそ、旧来の価値観とされる燃費スペシャルを用意する必要がなかったといえるだろう。
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