どうして少数派なのか? 水平対向のデメリット
ものごとにはメリットがあればデメリットもある。一部の例外を除いて現在はスバルとポルシェ以外に水平対向エンジン搭載の量産車がないのは、やはり水平対向エンジンにも弱点があるからだ。次にそんな水平対向エンジンのデメリットを考えたい。
●エンジンが幅広になる
ピストンが水平方向に置かれていることから、必然的にエンジン全幅が広くなる。これは制約の多い乗用車に搭載する場合に問題になる。特に近年のクルマは衝突安全性能が重視されていて、補強用のメンバーを入れるには全幅の狭いエンジンのほうが有利。
また、エンジンの排気量はシリンダーの内径×ストロークで決まるが、全幅に制約があると効率が良いとされるロングストロークの採用が難しくなる。もちろんスバルやポルシェはこのあたりの弱点も承知したうえでさまざまな対策を施して水平対向エンジンを採用しているのだが、そこまでノウハウのない他メーカーでは水平対向をチョイスしにくい。
●排気系のとり回しが難しい
内燃エンジンには排気管の装着が必要になるが、通常の水平対向エンジンではエンジン下部にエキゾーストパイプを配置せざるを得ず、せっかく低重心な形式にもかかわらず、エンジンを持ち上げて車体に搭載することになってしまう。
これを嫌ってかつては排気管を無理矢理レイアウトしたため、各排気管の長さが揃わず、結果として独特の排気音が生まれた。これをボクサーサウンドと呼んで歓迎したファンも多かったが、エンジンの効率を落としていたことは事実だ。実際、近年のスバル車では等長の排気管を採用していて、ボクサーサウンドも過去のものとなった。
水平対向エンジンの未来はどうなる?
最後はこれからの水平対向エンジンがどこに向かっていくのかだが、皆さんご存知のように、現在はEVやハイブリッド車が急速に普及していて、将来的には水平対向エンジンどころか内燃機関そのものがクルマに使われなくなる可能性もある。
それでも完全EV化への道はまだ遠く、水素エンジンのように従来の化石燃料に頼らない内燃機関も開発されている。スバルやポルシェの水平対向エンジンはアイデンティティの一種であり、この2メーカーはまだまだボクサーの雄であり続けるだろう。
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