■ダウンフォースと空気抵抗のトレードオフを両立! 日産R35型GT-R(Cd値0.26)
2007年に登場した日産「R35型GT-R」。そのCd値はなんと0.26だ。一般的には、空気抵抗を減らそうとすればダウンフォースが犠牲になり、ダウンフォースを優先すれば空気抵抗は大きくなる。
そのトレードオフの両立を狙ったGT-Rは、低いCd値を実現しながらも、強力なダウンフォースを発生させることに成功。300km/hでも安心して走るため、スポーツカーの世界でも、Cd値の低減は当たり前のものとなった。
■当時の世界最高レベル!! メルセデス・ベンツAクラスセダン(Cd値0.22)
メルセデス・ベンツが2018年に発表したAクラスセダンは、登場当時、量販車で世界最高レベルのCd値0.22を達成していた。ちなみにAクラスハッチバックは0.25だ。
CAEやシミュレーション、風洞実験をくりかえしながら細部の形状を詰め、グリルシャッターの導入や、フロアパン、リアアクスル部品、ディフューザーを含むアンダーボディのほとんどをフラットパネル化。ホイールリムとタイヤにもエアロダイナミクスの改良が施されているという。
その後、2022年に販売開始された同社の大型BEV「EQS」が、Cd値0.20を記録して市販車の世界最高レベルは上書きされたが、メルセデスの持つ、エアロダイナミクス設計の技術力の高さは、他のメーカーを一歩以上、抜きんでている。
■究極の空力特性! フォルクスワーゲンXL1(Cd値0.189)
2013年ごろ、フォルクスワーゲンが実施した「1Lカープロジェクト」(1Lの燃料で100kmを走る)で発表された、0.9Lのガソリンで100kmを走行可能とする「XL1」。そのCd値はわずか0.189だ。
排気量800ccの2気筒ディーゼルエンジンとモーター、7速DSG、容量5.5kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッド車であるXL1は、カーボン繊維強化ポリマー(CFRP)製のボディによって、車重は795kg。
空気抵抗低減のために車両後端が絞り込まれ、後輪もカバーで覆われたデザインだった。生産車としては史上最高の燃費100km/0.9Lを達成し、0-100km/hは 12.7秒、トップスピードは160km/h(電子リミッターが作動)だった。
* * *
いかがだったろうか。さらなる燃費性能追求のため、年々改善されていくCd値。トップクラスの実力が着実に向上しているのと同時に、これまで注目されていなかったSUV系も底上げがなされている。
昔はエアロダイナミクスデザインといえば、奇抜な造形が当たり前であったが、いまでは普通に見えるスタイリングなのにCd値が低いクルマが登場するようになった。今後は、カッコ良さと低Cd値を両立したデザインのクルマが、どんどん登場してくるだろう。
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コメント
コメントの使い方この流れでなぜヒョンデのIoniq 6がリストアップされないのでしょうか。最新モデルでCD 0.21と、量産車として歴代トップクラス。世界で評価の高いヒョンデ。デザインも意欲的でかなりいい。
確かにEVは、冷却用開口部が小さくていいなどCD値に有利な条件があるかもしれませんが、市販車でこの値は特筆すべきでしょう。
ぜひ変なバイアスなく多くの車の情報を紹介していただきたいと思います。