納期遅れが解消しつつあるとはいえ新車が購入しにくくなった昨今、クルマがほしいと考えている人にとって中古車という選択肢が注目されている。
しかし、初めて中古車を購入する人にとっては、何かと不安があるのは事実だ。本稿では中古車の「修復歴」に着目し、これがどういうものかについて解説していこう。
文/フォッケウルフ
写真/フォッケウルフ
■「修復歴」とはいったい何を表わすのか?
中古車の何が魅力的かといえば、時間の壁を越えて車格のヒエラルキーと価格の関連付けがなくなるということだ。状態のいい高年式車から、新車では高額だった車種が古くなって安くなったものなど、予算に合わせて幅広い選択肢のなかから選べる。
かつては新車のように品質が保証されておらず、車両の素性がわかりにくいということが不安を助長し、中古車に対して懐疑的なイメージを持っていた人が多かったが、近年の中古車市場は、クルマそのものの品質向上や、流通環境が整備されたこともあって、ひと昔前よりも成熟し、安心感が増している。
なおかつ、新車の納期遅れが影響して今すぐクルマがほしいと考えるユーザーが増加したことも相まって、条件さえ合致すればすぐに乗れる中古車に注目が集まり、市場の活性化がもたらされた。
新車とは異なり、装備内容やコンディションが同じ車両は世の中にふたつと存在しないのが中古車である。それゆえ、中古車に慣れていない人にとってはハードルが高い買い物であることに変わりはない。中古車購入時にはさまざまな要素を確認して吟味するわけだが、そのなかでも多くの人が気にする要素に「修復歴」という項目がある。
この「修復歴」だが、中古車に精通している人はさておき、中古車の購入が未経験という人のなかには、その内容について、修復歴がある車両というのは、単に「事故を起こしたクルマ」と誤認していることが少なくない。
しかし、事故を起こして(あるいは巻き込まれて)損傷を受けた車両のことで間違いはないのだが、自動車公正取引協議会(以下、自動車公取協)の規約によると、以下のようになっている。
「修復歴」とは、販売する中古自動車について、次に掲げる車体の骨格に当たる部位を修正及び交換することにより復元されたものをいう。
つまり、事故歴があったとしても自動車の骨格に損傷がなければ修復歴がない車両ということになるわけだ。バンパーやフェンダー、ドアに損傷を受けて板金したり、塗装した程度の修正では「修復歴」として扱われないことになる。
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