悲願? 終わりの始まり?? 日産ルノー24年ぶりのアライアンス見直しを読み解く

■「世界」から「地域」の最適へ

日産ルノーの出資関係の見直し
日産ルノーの出資関係の見直し

 ルノーは欧州に経営を集中させる地域戦略に転換したことで、アライアンス戦略をグローバルで一元化することの意味が薄れました。

 日産は中国、北米、日本市場をコアに置くわけで、欧州ではルノーとのアライアンスは意味が深いのですが、コア市場に向けては自らの力で競争力を切り開くことが必要となります。

 2022年11月、ルノーは「事業構造改革案」を発表し、EV部門の新会社「アンペア」、内燃機関事業の「ホース」を含めた5つに事業を分割することを決めます。そして、今回の合意である日産との資本関係を見直し、15%の対等出資でアライアンスを運営することが決まりました。

 今年の3月末を持ってRAMAは失効し、新しい正当なアライアンス契約が締結されます。IPのねじれは既存領域では所有権が整理され、今後の新しいIPに関しては明白なルール設置で合意しています。

 資本・ガバナンス・IPのねじれ関係を一掃し、未来を見据えた新しいアライアンスを進めることがついに可能となったのです。

 半導体・ソフトウェア・電池などのグローバルスケールが必要な技術においては、双方がそのスケールメリットを享受することを可能とし、個別事業は自由に展開することも可能です。

 協業がうまくいけばアライアンスは一段と競争力を高めることもできます。一方、エゴが衝突すれば不協和音とともに停滞や縮小に向かうこともあるわけです。

 日産は自由に自らの未来を描くことが可能となります。中国・日本・北米においては、新興企業や他メーカーなどと協業も可能となります。

 詳細は、5月にも発表予定のポスト「Nissan NEXT」の中期経営計画のなかで説明があるでしょう。

●中西孝樹(なかにしたかき):オレゴン大学卒。1994年より自動車産業調査に従事し、国内外多数の経済誌で人気アナリスト1位を獲得。著書多数

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