国産車に限ったことではないが、クルマはモデルチェンジのたびに大きくなり、重くなる傾向がある。これには、安全基準に適合させるためや居住空間の拡大などの理由があるが、運動性能や燃費など、小さくて軽い方が有利なことだってある。そこで今回は、ダイエットに成功して明るい未来を手に入れたクルマたちを紹介しよう。
文/木内一行、写真/スズキ、日産、マツダ
「原点に立ち戻ったザ・ライトウエイトスポーツ」 マツダ・ロードスター(現行)
初代、2代目と、ライトウエイトスポーツとして世界中で大ヒットしたロードスター。
しかし3代目ではエンジンが2リッターになり、ボディも3ナンバーサイズに拡大。これによりロードスターの良さがスポイルされたとなり、昔ながらのファンからは敬遠されることになってしまったのだ。
そこで現行NDでは原点に立ち戻り、軽量コンパクトを追求。
シャシーやボディに自慢のスカイアクティブ技術を盛り込み、マツダの歴代スポーツカーが取り組んできた「グラム作戦」を推進したことで、先代よりも100kg以上の軽量化に成功。シャープなマスクと美しいプロポーションのボディは、初代と比べて全幅は60mm広いものの、全長は40mmも短くなっている。
フロントミッドに搭載されるエンジンは1.5リッター自然吸気のスカイアクティブG 1.5。これはアクセラにも搭載されていたユニットだが、各部を専用設計することで全域でのトルクアップと高回転化を実現。スペック的には大したことないが、1トン程度の車重ゆえ走りは痛快だ。
2016年にはリトラクタブルハードトップのRFも登場。車重は増加したが日本仕様には2リッターエンジンが搭載され、ソフトトップとは違う魅力や楽しみが感じられる。
3代目はシャシー性能が高くパワーもありクルマとしての潜在能力は高かったが、ロードスターらしさは薄れてしまった。そういう点では、やはり現行NDがロードスター本来の姿なのだろう。
【画像ギャラリー】軽くなったらめちゃ良くなったクルマたち!(15枚)画像ギャラリー「思い切った変革で軽く、そしてコンパクトに」 マツダ・デミオ(3代目)
今では世界共通のマツダ2に改称されたものの、マツダのコンパクトカークラスを長らく担ってきたデミオ。
初代は「自由形ワゴン」をコンセプトに大ヒットし、2代目はそれを正常進化させたわけだが、2007年デビューの3代目では路線が大きく変わった。
目指したのは「パーソナル・スマート・コミューター」で、見た目だけで乗りたくなる個性的なデザインと、日常での使い勝手を高めるパッケージ・機能性を実現。
先代よりも30〜40mm短く、全高を55mm低くしたボディは、扱いやすさとスタイリッシュなフォルムを両立。その一方、デザインとパッケージングの追求によりゆとりある室内空間を確保し、日常で十分に満足できる積載性も確保した。
そして、特にこだわったのが軽量化。ロードスターやRX-8などの開発で培ったノウハウを活用してボディやシャシーを刷新し、先代比で約100kgの軽量化を達成したのである。
エンジンは進化した1.5リッター/1.3リッターユニットに加え、新開発の1.3リッターミラーサイクルエンジンを搭載。マツダ初のCVTも採用された。
さらに2011年には、現在のマツダのコア技術となるスカイアクティブエンジンを初搭載。アイドリングストップ機構を組み合わせ、30.0km/Lという低燃費を実現した。
ダイエットとともにシェイプアップも行った3代目デミオは、路線変更が見事にハマった好例だ。
【画像ギャラリー】軽くなったらめちゃ良くなったクルマたち!(15枚)画像ギャラリー
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