■マルチシリンダー大排気量エンジン
日本車では昨年秋に登場したレクサスIS500が最後かもしれない。5LV8ガソリン、481ps。1980〜1990年代を「クルマ命!」で過ごした層にはありがたいこのスペックも、今とこれからの人にはムダにしか見えないだろう。
さらに上をいくV10エンジンやV12となると、もはや絶滅危惧種を超えて「遺産」に近い存在になっている。V12エンジンは今やフェラーリ、アストンくらいのものだし、V10もランボルギーニウラカンとアウディR8のみ。今のうちに世界遺産に登録して、厚く保護しておく必要がありそうだ。
■センターメーター
新型プリウスが伝統のセンターメーターをやめたことで、絶滅の危機が訪れている。
そもそもは右ハンドルにも左ハンドルにも使える合理性の高さが使われ始めた理由で、1959年登場のMINIが最初というから、意外と歴史は長い。日本では1997年登場の初代プリウスが火付け役だった。
合理性とともに「斬新に見えた」のも採用車種が増えた理由だが、冷静に考えてみると、メーターが遠いのは見えにくいし、視線移動も多いしとあまりいいことがない。真ん中の一等地はモニターを置きたいという理由もあって、復活の可能性は低そうだ。
■イグニッションキー
最近のクルマはみんなボタンスタート。鍵を差し込み、グイと回してエンジンがかかるクルマは絶滅危惧種となってしまった。
そのうち指紋認証や顔認証で鍵そのものもなくなるかもしれない。クルマに乗ったら鍵を差し込み、回すという所作は「駅で切符を買う行為」に等しい昔のものになってしまった。
■シガーソケット
防衛費を増やすために法人税、所得税、たばこ税を増税するらしい。
たばこ税はこれまでもJRの借金返済にも使われていて、今度は防衛費とくれば社会貢献度は相当大きいはずなのだが、喫煙者は忌み嫌われている。
「増税は受け入れてやるから、もっと自由にたばこを吸わせろ。禁煙者が増えたらトマホーク買えないぞ」と脅しても袋叩きに遭うだけだろうから、クルマのシガーソケットも消えていく運命だろう。
■コーナーポール
ボディ左側先端に立てるコーナーポール。これを目印にすれば、クルマの鼻先がどこにあるのかわかりやすい原始的ながら優れたアイテムだったが、最近はコーナーセンサーが普及したうえに、見た目もイマイチとあって急速に装着車が減少している。
確かにコーナーセンサーは音と(クルマによっては)コーションランプで障害物に近づいていることを知らせてくれるが、距離感がつかみにくく、結局は勘で動かしている感覚がついて回る。それに対し、コーナーポールは肉眼で確認できるので安心という人も多そうだ。
コーナーポールひとつにこれだけの文字数を費やす原稿もめずらしい。担当がコーナーポールを溺愛しているわけでもないが、成りゆきでそうなった。でも、復活は難しいでしょうなぁ。
■棒のアンテナ
棒つながりで言うと、「いかにもアンテナ!」という感じの棒タイプのアンテナも絶滅危機にある。
最近はガラスに組み込むフィルムアンテナや、ルーフに取り付けて角度を変えられる小ぶりのポールアンテナ、魚のヒレのような形のシャークアンテナ(ドルフィンアンテナとも言われる)が主流で、手動や自動で棒が伸び縮みするアンテナは絶滅の危機。
それで困るクルマユーザーはほとんどいないだろうが、棒アンテナの「今、そこにある危機」は認識しておいていただきたい!
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