「こんなカタチあり!??」ありです!! 正円でなく異形が急増中の「ハンドル」どれが使いやすい? どれが最適??

スポーツモデルに向いている「楕円型」

 下端部だけでなく上端部もフラットにした楕円形、もしくは小判型とよばれるタイプも採用例が増えています。このタイプを積極的に採用しているのがプジョーで、「i-Cockpit」と称してモデル展開を進めています。また、フェラーリやコルベットといったスポーツカーもこの楕円型を採用しており、車種によって多少の違いはありますが、小径が主流です。

 メリットは、D型と同じく大腿部とのクリアランスが確保できる他、小径で上端部をフラットにすることで、メーターをステアリングホイール越しでなく上から見ることができ、視線の移動が抑えられること。また、ステアリングギヤ比も小さめ(クイックになる)なので、ステアリングを大きく回す機会が少なくなることもメリットです。さらに、ステアリングホイールに手をかけた際に、肘が下がってリラックスした姿勢となるため、疲れにくくなります。

 デメリットは、D型と同じく操作性が悪いことですが、スポーツモデルでは、メーターと着座位置が低く、ステアリングホイールと大腿部が接近しやすくなるため、下端フラット化のメリットが大きくなります。

2009年にデビューした3代目プリウスの楕円ステアリングホイール。4代目では、正円型に戻した
2009年にデビューした3代目プリウスの楕円ステアリングホイール。4代目では、正円型に戻した

VGSとの組み合わせが不可欠な「ヨーク型」

 最近注目を集めているのが、航空機の操縦桿のような「ヨーク型」です。レクサスのバッテリーEV「レクサスRZ」、トヨタのバッテリーEV「bZ4X」などが採用しています。SBW(ステア・バイ・ワイヤ)を利用してVGS(可変ステアリングホイールギヤシステム)を採用しており、高速走行ではギヤ比を大きくしてステアリング感度を抑えて走行安定性を重視し、低速走行ではギヤ比を小さくクイックに反応するようにしています。

 メリットは、ステアリングホイール周り(特に上側)がスッキリして可視域が広がることで、運転に集中できることと、VGRによって、駐車時などでもステアリングホイールの持ち替え無しで運転ができることです。デメリットとしては、原則ステアリングホイールを持ち替えることを想定していませんので、低速域でのギア比が超クイック。慣れるまで(慣れても)は大変で、最初はスムーズな操作が難しいです。何よりも見た目のインパクトは強烈ですね。

2021年に登場したトヨタのバッテリーEV「bZ4X」のワンモーショングリップ。SBW(ステア・バイ・ワイヤ)を利用してVGS(可変ステアリングホイールギヤシステム)を採用
2021年に登場したトヨタのバッテリーEV「bZ4X」のワンモーショングリップ。SBW(ステア・バイ・ワイヤ)を利用してVGS(可変ステアリングホイールギヤシステム)を採用

当面、異形ステアリングホイールの採用は限定的

 以上のような異形ステアリングホイールは、大腿部付近のクリアランス拡大やインパネの視認性の向上いうメリットはあるものの、操作性については、一般的な正円型ステアリングホイールに劣ります。正円型は、切り替え時にどの部分を握っても、いつも同じ状態で操作でき、容易に持ち替えができる、理にかなった形状なのです。

 したがって、VGSを装備した一部の車や、クイックな応答性が求められるスポーツモデル以外の一般モデルは、正円型が主流であり続けるでしょう。トヨタの「プリウス」は、2代目、3代目は楕円型でしたが、4代目で正円型に戻しています。市場の反応を見ながら、モデルによって使い分けているという印象です。

 車速に応じてステアリングホイールギヤ比が自動で最適化できるVGSが普及すれば、異形ステアリングホイールの採用が加速するかもしれませんが、現時点ではコストとの兼ね合いから、VGSの一般的な乗用車への普及は限定的。これも、異形ステアリングホイールの足かせになっています。

◆     ◆     ◆

 しかしながら、将来的にSBW(ステア・バイ・ワイヤ)が普及して自動運転が本格的に進めば、さらにユニークな異形ステアリングホイールが登場し、場合によってはステアリングホイール自体がなくなってしまう時代が到来する可能性も考えられます。今後のステアリングホイールの進化が楽しみです。

【画像ギャラリー】ステアリングホイールは正円型とD型、どっちが操作しやすい!?? 正円型とD型両方を採用する日産ラインアップ(17枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!