■給油機の世界シェア3位:タツノ
東京の港区に本社を置く機械メーカーで、ガソリンスタンドで使われる給油機(タツノでは計量機と呼ぶ)のシェアでは国内1位、世界3位。タツノの製品は世界80以上の国・地域で使われており、「ガソリンを長期間にわたり、正確に測る技術」にかけては、圧倒的なノウハウを持つ。
創業は明治11年(1911年)だから今年で創業112年目。当初はアメリカから計量機を輸入していたが、1919年に計量機の自社生産に成功し、現在は水素ビジネスなどにも事業を拡大している。ちなみに田町に2015年まで存在したボーリング場「田町スターレーン」は、同社の運営だった。
■産業用ロボットで世界シェア1位:ファナック
クルマユーザーの目に触れる機会は少ないが、自動車生産の現場では神様のような会社。クルマを自動で組み立てる産業用ロボットで世界シェアの2割を占めるトップ企業だ。ちなみにファナックと安川電機、ABBジャパン(本社はスイス)、KUKA(中国資本のドイツ企業)は、「産業ロボット4大企業」と呼ばれている(これを川崎重工が猛追している)。
山梨県の南都留郡に本社があり、富士の裾野に広大な施設を構える。研究・開発に大きな力を注いでおり、社員の3分の1は研究員という学究肌の企業だ。「壊れない。壊れてもすぐに知らせる。壊れてもすぐに直せる」が製品のスローガンで、そこから生まれるロボットは自動車メーカーなどなどから絶大な信頼を得ている。産業用ロボットのほか、工作機械用CNC(コンピュータ数値制御)装置でも世界シェア首位というから頼もしい。
■精密小型モーターで世界シェア1位:日本電産
京都市南区、かつて長岡京が存在した地に本社ビルを構える会社。2020年から2022年まで、日産自動車出身の関潤氏が社長を務めたことでも知られるが、現在は創業者でカリスマ経営者でもある永守重信氏が復帰して舵取りを担っている。2023年4月には社名を「ニデック」に改める予定だ。
コンピュータの黎明期に、フロッピーディスクやハードディスクに用いる精密小型モーターを生産して基礎を固めたが、自動車のパワステやトランスミッション用モーターといった領域でも技術力を示してきた。そして今、クルマの電動化でさらなる飛躍を目指す。モーターを制御システムと組み合わせて車軸に一体化する「eアクスル」という分野で、市場制覇を目指しているのだ。中国製EVのシェアでは、すでに同社のeアクスルがトップを占めるというからすごい。今後は日本や欧米製EVでも採用が進みそうだ。
■車載用積層セラミックコンデンサで世界シェア1位:村田製作所
米粒のように小さいが、電気製品の安定動作を支える極めて重要なのが、積層セラミックコンデンサ(MLCC)という部品。村田製作所はこのMLCCでおよそ40%というシェアを持つが、車載用に限ると約半分が同社製といわれる。さらにいうとこの分野は日本企業の独壇場で、村田製作所にTDK、太陽誘電を加えた3社がほぼ世界市場を独占している状況だ。
村田製作所は日本電産とならぶ京都のハイテク企業で、創業も1944年と古い。自転車に乗ったロボット「ムラタセイサク君」のCMを覚えている人もいるかもしれないが(一輪車ロボットのムラタセイコちゃんもいた!)、日本でよりも海外で名前が知られており、売上比率も90%以上を海外で稼ぐという出稼ぎ型超優良企業だ。
MLCCのほか、半導体に使われる表面弾性波フィルターや電磁障害フィルター、Wi-Fiモジュールといった分野でも世界シェア1位に君臨しており、「村田製作所がなくてはスマホも作れない」といわれるほどの技術力を持つ。今後も世界をあっといわせてくれる会社であることは間違いないだろう。
というわけで、自動車という分野に限っても、日本には数多くの優秀な企業が存在する。大いに自信をもって、世界で大暴れしてもらおうじゃないか!
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