「開かないサンルーフ」激増!! 明るく楽しいけどなぜ…? 意外な理由は「ガラスの進化」

ガラス技術の進化によって、課題が軽減された

 パノラマルーフは、コストや重量の増加以外にも、強度や耐久性、そして外気の影響を受けやすいためにエアコンの負担が大きくなるといった課題がありましたが、ガラス技術の進化によってそれらの課題が軽減されるように。具体的には、軽量化や低コスト化に加えて、コーティング技術によって赤外線や紫外線カット、遮音、撥水性が向上したことが、パノラマルーフ人気の起爆剤となりました。

 なかでも、調光機能を持つガラスの登場は革命的でした。調光ガラスは、2枚のガラスの間に特殊なフィルムを挟み込んだ合わせガラスで、日差しを和らげる調光(遮光)モードと透過(通常の透明)モードを電気信号で瞬時に切り替えることができます。これにより、夏は暑く冬は寒いというサンルーフの弱点を解消でき、夏でも涼しく(遮熱)冬は暖かい(断熱)快適な室内空間の実現に貢献できるようになりました。調光ができるパノラマルーフは、シェード(日よけパネル)を備える必要がなくなり、軽量化やヘッドクリアランスの確保にもつながります。

ハリアーの調光パノラマルーフ(左図:透過状態、右図:遮光状態)。
ハリアーの調光パノラマルーフ(左図:透過状態、右図:遮光状態)。

贅沢装備として普及している

 燃費やコストに対する制限が緩かったバブリーな時代に普及したサンルーフとは異なり、パノラマルーフは圧倒的な解放感や先進性、高級感が演出できる装備です。そのため、比較的高額のモデルでの採用が前提であり、多くの場合、メーカーオプションとして、もしくはハイグレードモデルに搭載されています。

 高額のモデルであれば、パノラマルーフの10万円~20万円のコストアップや20kg~30kgの重量増しの負担を相対的に軽減できるということも、高額モデルで採用が進む要因でしょう。

バッテリーEVでは、今後も積極的に採用されていくのでは

 日産「サクラ」やホンダ「Honda e」のような小型のバッテリーEVもなかにはありますが、欧州車も含めて、現在のバッテリーEVは500万円を超えるような高額モデルが多く、また、大量のバッテリーを床下に搭載するため車重も重くなります。

 そのためバッテリーEVでは、パノラマルーフ搭載によるコスト、重量の負担が相対的に小さくなり、ルーフが重くなっても(重心が低いために)走行安定性への影響は小さくなります。また、先進的な電気自動車のイメージと明るい開放的な雰囲気を醸し出せるパノラマルーフとは相性がよく、バッテリーEVでは今後も積極的にパノラマルーフが採用されていくでしょう。

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