10年以上のお付き合いもザラにある! 自動車ディーラー営業マンの転勤・異動事情

10年以上のお付き合いもザラにある! 自動車ディーラー営業マンの転勤・異動事情

 春は出会いと別れの季節。企業では人事異動が多い時期。しかし自動車ディーラーでは、何十年も同じお店に勤務し続ける営業マンが多く存在している。ディーラー営業マンの転勤・異動事情はどうなっているのだろうか。

文/佐々木 亘、写真/AdobeStock(Nebojsa@AdobeStock)

■人事異動や転勤は、ディーラーにとってのリスクになりかねない

ディーラーの営業マンに転勤は非常に少ない。同じお店の同じ営業マンから長年クルマを買い続けているというケースも珍しくない(DragonImages@AdobeStock)
ディーラーの営業マンに転勤は非常に少ない。同じお店の同じ営業マンから長年クルマを買い続けているというケースも珍しくない(DragonImages@AdobeStock)

 一般的な企業では5年から7年程度、金融機関では3年程度で異動の辞令が出る。人事異動を個々人や店舗(会社)のレベルアップに必要なことと捉え、積極的に行う企業が増えてきた。

 異動先を見ることで、「こいつはエリートコースに乗った」と将来の展望も予測でき、一般的に階級や役職を上げるためにも、転勤・異動は必須とされているだろう。

 定期的な人事異動は、不正防止にもつながる。金融機関では顧客との不正な癒着などを防ぐ、社内浄化の意味を含めて異動を行っているのだ。

 では、自動車ディーラーに目を向けていくとしよう。読者の皆さんにお聞きしたい。今、皆さんを担当しているディーラー営業マンとは、どのくらいお付き合いがあるだろうか。

 1~5年という方もいれば、10年以上という方も多いはず。中には20年以上も同じお店に通い続け、同じ営業マンからクルマを買っているという方もいると思う。

 一般的な会社と違い、自動車ディーラー営業マンは転勤が非常に少ない職業なのだ。

 人と人の繋がりが、商売の成果に直結するため、安易な転勤はディーラー全体の顧客離れにもつながってしまう。ディーラーには数多くの店舗があるが、営業マンとして4店舗以上を渡り歩くというのは、結構なレアケースだろう。

■ディーラー営業マンが異動する理由とは

営業マンの人事異動は少ないとはいえ、全くないわけではない。店舗の販路拡大やスタッフ退職による人員不足を補うために転勤していく営業マンも存在する(K+K@AdobeStock)
営業マンの人事異動は少ないとはいえ、全くないわけではない。店舗の販路拡大やスタッフ退職による人員不足を補うために転勤していく営業マンも存在する(K+K@AdobeStock)

 とはいえ、ディーラー営業マンに人事異動が全く無いわけではない。春先には複数名の異動が命じられ、転勤する営業マンもいる。

 その理由はいくつかあるが、最も大きいのは店舗網の拡大や店舗のスケールアップに伴う人員不足を補填するためだ。また、スタッフ退職に伴う人事異動も多い。

 筆者も現役営業マン時代に1度だけ異動を経験した。異動は、転勤先でのスタッフの退職によるもの。入社からわずか10か月で、転勤を命じられることとなったが、その後は、退職するまで同じお店に居続けた。

 人員不足を補填する異動では、若手営業マンに白羽の矢が立つことが多い。先に挙げた顧客離れのリスクを最小限にするため、お抱えの常連客が少ない営業マンを異動させる。

 また、新人営業マンの場合には、1年程度本社ショールームで勤務させ、教育期間を作ってから、営業マンの地元地域にあるお店に戻すというケースもあるのだ。(生まれ育った環境の方が人脈を使えるため営業成績があがりやすいと考えられているため)

 スタッフの昇給・昇格で営業マンが不足するケースもある。優秀な営業マンは出世していき店長となるわけだが、店長職になると車両販売が出来なくなる。昇格のタイミングで営業マンが一人減り、他店から補充されるという流れだ。

 昇格・昇給が起きるのが年度末。したがって、自動車ディーラーでは春の異動が最も大規模で、営業マンの異動も多くなる。

次ページは : ■転用が利かず異動の進まない営業マン、異動先によっては給料が下がることも

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