■スズキの関連企業というより自国の企業というイメージ
そのため、実際にインド各地を巡ってみると、マルチ・スズキが日本から来たスズキの関連会社というイメージではなく、あくまでもインドのメーカーという意識を持っているユーザーがとても多いことに気づく。
これこそが、マルチ・スズキとほかの自動車メーカーとの大きな違いである。インド地場メーカーで鉄鋼などさまざまな事業を展開する大手グループであるタタや、マヒンドラ&マヒンドラと比べても、インドのユーザーのマルチ・スズキに対する信頼度はそれらと同等、またはそれ以上と言えるのではないだろうか。
このように、マルチ・スズキは、インド自動車業界と同調して成長し、いまやスズキ四輪事業全体282.2万台の59%を占める165.9万台をインドで生産するに至っている。
■インドで売れている人気のマルチ・スズキ車は?
インドでの直近、2022年12月の人気乗用車ランキングで見ると、第1位が「バレーノ」。バレーノと言えば、マルチ・スズキから2010年代後半に日本に輸出され国内販売されていたが、日本の市場には上手くマッチできずに姿を消している。
2022年に登場した最新型は、マルチ・スズキがプレミアムハッチバックと表現しているが、コンパクトな1.2LクロスオーバーSUVといったイメージがある。
スマホ連携を筆頭に通信によるコネクティビティを充実させていることも、インドの若い世代から支持を得ている理由であろう。
続く第2位「エルティガ」は、経済新興国での人気が高い小型3列7人乗りミニバンのMPV(マルチ・パーパス・ヴィークル)だ。全長4395mm×全幅1735mm×全高1690mmで、ホイールベースは2740mm。主力エンジンは1.5Lマイルドハイブリッドを積む。
第3位は日本でもお馴染みの「スイフト」である。インド市場では、スポーティでスタイリッシュなボディデザインが根強い人気。
エンジンは1.2Lで、スイフトの真骨頂であるキビキビした乗り味は、インドの広い世代から「走りやすい」と高い支持を得ている。
■現在は軽ベースではなく小型ハッチやSUVが人気
第4位のインド地場タタのコンパクトSUV「ネクソン」を挟んで、第5位もマルチ・スズキで「ディザイア」だ。
こちらはコンパクトな4ドアセダンで、全長3995mm×全幅1735mm×全高1515mmで、ホイールベースは2450mm。主力エンジンは1.2Lである。
近年は市場トレンドがセダンからSUVにシフトしている印象があるが、ディザイアは広い世代に売れている。
そして、第6位は「ブレッツァ」。こちらは、2016年に発売した「ビターラ ブレッツァ」の後継モデルとして2022年にデビュー。全長3995mm×全幅1790mm×全高1685mmのボディサイズで、1.5Lマイルドハイブリッド車となる。
マルチ・スズキの資料には都会派SUVとあるが、ボディデザインはオフロード系のイメージも強い。
このように、以前のような軽自動車ベース車はなく、日本国内でも充分通用しそうな最新モデルがインドで並ぶ。
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