スバルがターボ車にエアインテークを付け続ける理由


スバルが、2019年3月のジュネーブショーに出展したレヴォーグが話題だ。

そのフロントマスクは、やけにすっきり……。お馴染みのアレがない! そう、ボンネット上のエアインテークである。このレヴォ―グは、2Lの自然吸気エンジン車で、欧州で新たに展開される仕様なのだ。

ボンネットの「穴」、即ちエアインテークは、ターボエンジンを搭載する車に設けられることが多い。ただ、現在の新車を見渡すと必ずしもその「穴」が設けられている車ばかりではない。一方、必ずと言っていいほど「穴」を設けているのがスバルのターボ車で、件のレヴォーグもそのひとつだ。

スバル車にエアインテークは必要? もしかしてカッコだけ? これまでスバルへ取材した内容をもとに、自動車ライターの大音安弘氏が解説する。

文:大音安弘
写真:編集部、SUBARU


エンジンが関係!? スバルはなぜエアインテークを付けるのか

スバルのターボ車は水平対向エンジンの利点を生かし、インタークーラーをエンジンの上に配置。その関係でエアインテークがボンネット上に設けられている

スバル車に共通するアイテムといえば、一番に思い出すのは、水平対向エンジンの存在だろう。

他のレシプロエンジンとの最大の違いは、ピストンの運動にある。レシプロエンジンのピストンが一列に並び、上下に運動するのに対して、水平対向エンジンの場合は、ピストンが水平方向に向き合うように配置され、左右方向に運動する。

このため構造も左右対称(シンメトリカル)となり、エンジンの横幅は広くなるものの、高さや全長を抑え、同排気量のエンジンと比べ、コンパクト化できるのがメリットだ。

スバルでは、この特徴を最大限活用し、エンジンの搭載位置を出来るだけ低く、そしてエンジンルーム後方に収めることで、低重心化と運動性能の向上を図っている。

エンジンの搭載位置が低くすることで、エンジン上部のスペースを確保することが可能。スバル1000からレオーネまでは、このスペースを活用し、エンジンの上にスペアタイヤを搭載していた。

ジュネーブショーで展示されたレヴォーグ。同車は日本にはないノンターボ仕様のため、ボンネット上にエアインテークは設けられていない

時代は流れ、レガシィが登場。スペアタイヤはトランクに移設され、その替わりにターボエンジンの性能強化に加えられたインタークーラーが、エンジン上部に収まるようになる。この冷却にために、エアインテークが必要となったのである。

しかし、他社は必ずしもインタークーラーをエンジン上部に設置しているわけでもない。なぜエンジン上なのか。これには、水平対向エンジンとターボの構造が関係する。

先にも述べたが、水平対向エンジンは横幅が広いので、エンジンルーム内の左右スペースには制限がある。ターボ、エンジン、インタークーラーを結ぶレイアウトには当然大きな制約が生じる。

もし、インタークーラーを前置きすると、ターボチャージャーとインタークーラー間の距離が長くなり、効率も悪化する。

しかも、前方に重量物を配置すると、当然、鼻先が重くなり、水平対向エンジンのフロントミドシップレイアウトの効果も薄れてしまう。効率・構造・重量バランスすべての面で現在の位置がベストな選択というわけだ。

ターボ車でも「穴」がない車はなぜ実現できる?

2018年に発売されたカローラスポーツ。写真は1.2Lターボエンジン搭載車だが、ボンネット上に「穴」はない

ただ、スバル車にも例外があり、エアインテークレスのボンネットを持つターボ車があった。それが、先代フォレスターのターボモデル。もちろん、インタークーラーはエンジンの上に配置されている。その秘密は、エンジンルーム上部のスペースがより広いので、インナーダクトが備わっていたためである。

直列エンジンやV型エンジンの場合、インタークーラーは、前方や左右に配置される例が多いので、バンパーやボディサイドにエアインテークを設けられているのが通常だ。

珍しい例として、新型カローラスポーツでは、1.2Lの直列4気筒ターボエンジンの上にインタークーラーを設置しているが、ボンネット上にエアインテークはない。これは、小型の水冷式インタークーラーを採用しているためで、フロントグリルからのエアフロー(空気流)で充分だからだ。

余談だが、初代レガシィのみ水冷式インタークーラーを採用していた。もちろん、エアインテークが存在するが、開口部が歴代モデルの中でも最もコンパクトサイズとなっている。

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