車いす使用者が利用する優先駐車場は、ショッピングモールなどのさまざまな場所にある。今回は、車いすマークのある優先駐車場でのトラブルや、マナー違反について解説。さらに、パーキング・パーミット制度について紹介していく。
文/齊藤優太
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写真/Adobe Stock、TOYOTA
■車いす使用者などが優先となる「車いす使用者用駐車施設等」とは?
車いす使用者などが優先となる駐車スペース(車いす使用者用駐車施設等)は、高速道路のパーキングエリア、空港やショッピングモールなど、さまざまな場所で見かけます。
しかし、車いす使用者以外の方がその駐車スペースを利用しているのを見かけることも珍しくありません。
そこで今回は、車いす使用者用駐車施設等の特徴や利用対象者、よくあるトラブルや不適切な利用を防ぐための対策などを紹介します。
「車いす使用者用駐車施設等」とは、車いす使用者などが優先される駐車スペースです。
2020年(令和2年)5月には、車いす使用者用駐車施設等のバリアフリー施設を円滑に利用するために必要な配慮をすることに努めるよう「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」が改正されました。
高齢者や障害者などが利用できる車いす使用者用駐車施設等は、施設や建物の出入口付近に設置され、3.5m以上の幅がある駐車スペースとなっています。
この車いす使用者用駐車施設等を利用できるのは、高齢者、全ての障害者(身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者など)。妊婦・産婦、日常生活または社会生活において身体の機能上の制限を受ける人(ケガ人など)です。
しかし、実際の駐車場では、車いすの通過に必要な最低幅(約80cm)と回転に必要な幅(約140cm)が確保されている駐車スペースに、車いす使用者が車を停められないケースもあるようです。
■「車いす使用者用駐車施設等」を適正に利用するための改善策
認定NPO法人DPI日本会議が2021年に実施したアンケート調査によると、車いす使用者以外の人が駐車すること。車いすを降ろすためのスペース(駐車スペース左右にあるゼブラゾーンなど)に自転車やバイクなどが停められていたりすることなどが、困っていることとして挙げられています。
また、屋根がない車いす使用者用駐車施設等や三角コーンなどを自ら動かさなければならない駐車場も車いす使用者にとっては不便とのことでした。
さらに、トヨタイムズに掲載されているインタビュー記事によれば、ゼブラゾーンにまたがって停まっている車。そのほかカラーコーンとバーを使って駐車スペースの入り口が塞がれていたりすると、車いす使用者はお手上げ状態になるとのことでした。
このような車いす使用者用駐車施設等を本当に使いたい人が利用できない状況が発生しています。
国土交通省は2023年(令和5年)に、「車いす使用者用駐車施設等の適正利用に関するガイドライン」を作成しました。
また、車いす使用者用駐車施設の利用対象者を「車いす使用者」と明確化することが望ましいという旨も発表しています。
さらに、利用対象者の明確化には、「パーキング・パーミット制度」も車いす使用者等の利用環境改善に効果的とのことです。
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