PHEVは車体が大きくなるため、重い
PHEVを通してメーカーが目指しているのは、「CO2発生量を抑えながら、走行距離をどれほど稼げるか」という点だ。1度の満充電で300~400km程度しか走り続けられないバッテリーEVとは違い、ガソリンエンジンも使えるという安心感は、本当に心強い。
ただ、大容量の駆動用バッテリーと同時にエンジンも搭載する必要があるため、PHEVはどうしても車体は大きくなりがち。そのため、駆動用バッテリーを床下へ配置してもスタイリングをごまかせるSUVタイプが主流となっている(欧州メーカーでは、セダンやステーションワゴンのPHEVもあが、Eクラスや5シリーズ以上の大型車がメイン)。
大きくなることで懸念されるのが「車両重量の増加」だ。重量アップは、運動性能や動力性能、燃費性能など、様々な面においてデメリットとなる。RAV4を例に挙げれば、2.0Lガソリン車(4WD)は車両重量1630kg、2.5Lハイブリッド(E-Four)は1700kgであるのに対し、PHEV(4WD)は1920kgと、ガソリン車比で290kg、だいたい大人4人分(1人70kg相当)も重たくなっている。他のPHEVも、アウトランダーPHEV5人乗りは2010kg、CX-60は2040kg(ガソリン車は1680kg)と、いずれもミドルクラスSUV のはずなのに、車重が2トンを超えてしまっている。
強力な出力のモーターを積んでいるため、PHEVに「加速の遅さ」を感じることはなく(むしろ速すぎるほどだ)、低重心化によって、走りに重厚感が出るので、PHEVの魅力のひとつとして好意的に受け止められているが、環境にいいとされる乗り物がこれでいいのか、と疑問に思う。
プリウスPHEVは、環境性能の高いクルマの本質をついている
その点、プリウスPHEVはなんと車両重量1570kg(ハイブリッド2WDは1420kg)。プリウスPHEVは、大きくなりがちな車体を、床面をかさ上げして車内が狭くなることもなく、全高を上げてエクステリアに影響を及ぼすこともなく、見事なパッケージングを成立させてきた。
これは、高出力かつ小型バッテリーを開発したり、PHEV専用に燃料タンクをつくったり、駆動用バッテリーを避けるために排気管の経路を緻密に設計したりなど、設計担当の努力によるもの(プリウスの設計担当者によると、(リアモーターを置くスペースがないため)さすがにPHEVの4WDはつくれなかったそう)。
車重が軽いことによって、プリウスPHEVは実に走りが軽快。軽やかな身のこなしからは、軽さの恩恵を十二分に感じられ、PHEVの中ではダントツで楽しい。他のPHEVは大抵が4WD車でもっとパワフルな加速をするが、プリウスPHEV程度の動力性能があれば、十分だと思う。むしろ、4WD制御の力によって無理やり曲がる重量級PHEVよりも、断然いい。
そして、やはり最大のメリットは、電費も燃費もよくなることだ。これこそが、環境性能の高いクルマの本質ではないだろうか。さすがは元祖ハイブリッドカー「プリウス」だ。プリウスPHEVは数多くあるPHEVのなかでも、ダントツに評価されるべきPHEVだ。
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コメント
コメントの使い方知らなかったことも幾つかありました。テーマに沿ってデータがまとめられているため、筆者の主張にも素直に賛同することができました。良記事。