日本車は世界でも評価が高く、様々な国と地域で販売されている。自動車はまさに日本を代表する基幹産業と言える。そんな日本で最も売れているのが軽自動車だ。コンパクトなボディサイズに税制制度も含めた経済性の高さがその理由だ。では日本で売れまくっている軽自動車を海外に販売すれば、売れること間違いなしなのでは? と思うが、日本市場ほど軽自動車は本格投入されていない。その理由はなぜなのだろうか。
文/西川昇吾、写真/SUZUKI、池之平昌信
■軽自動車とは?
そもそも、軽自動車とは何なのだろうか。今一度振り返ってみよう。軽自動車は全長3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2.0m以下というボディサイズで、定員最大4名、排気量660cc以下という規格が決められている。この規格を満たせば軽自動車となる訳だが、この規格は1998年からあるもの。
元々軽自動車という存在は1949年に制定された。この時は今よりも最も小さな規格だったのだ。それが何度かの規格の改定を繰り返し、最終的に1998年に現在の規格となった。
元々軽自動車という規格は1949年に誕生した。戦後間もない日本で経済成長を促すため、簡単に免許を取得出来て維持費が安いクルマを狙って整えられた規格であった。この起源があるからこそ、現在の軽自動車は税制制度的に優遇されていて、維持費を安く出来るのだ。
それでいて規格の変更により昔に比べて大きくなったボディサイズや排気量で、普通車と比べて日常使用では遜色ない広さや走りを実現できるようになった。だから売れているのだ。
■日本独自規格のため海外では…
日本で売れまくっている軽自動車だが、海外市場に本格投入されている例は少ない。先代アルトなどはパキスタン市場で軽自動車規格そのままで販売されていたりした。
しかし、基本的には軽自動車がそのままで販売されることはほぼない。軽自動車モデルをベースにしても800~1000cc程度の大きなエンジンを搭載したり、横幅を広げたりしている。
これは軽自動車という規格が日本独自のものであるからなのは確かだ。海外市場では軽自動車という規格や税制制度は存在しない。軽自動車は日本独自のマイクロカーと言えるだろう。
日本で軽自動車を販売しているメーカーが海外でそのまま軽自動車を販売する例が少ないのは、簡単に言えばそのままでは売れないケースが多いからである。需要に合わせて横幅を広げたり排気量を拡大したりしているのだ。
そのままでも十分な性能だと感じるかもしれないが、国が変われば道路事情や交通環境も変化する。そのような環境の違いに対してミスマッチが起きてしまったり、小さなクルマに対する衝突安全時のイメージなどが、軽自動車がそのまま輸出されない大きな理由と言えるだろう。
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