■ボーテックスジェネレータの威力を発揮したエボVIII MR
そして、その後非常に注目したのがランエボVIII MRのルーフエンドに装着されたボーテックスジェネレータだ。8つの縦フィンが縦渦を発生させてリアの揚力と空気抵抗を同時に低減するというもの。
この技術は少し前になるが、ホンダアクセスが現行シビックタイプR用に開発したリアウイングの裏面に鋸歯状の突起がデザインされている。直進状態では空気の流れを整流してダウンフォースを増すが、コーナリングに入ると徐々にダウンフォースが減少し、フロントの切れがよくなるというもの。
筆者も群馬サイクルスポーツセンターで試乗したが、明らかにリアが落ち着き余計な上下動を起こさなくなり、しかもコーナーへのターンインが素直になることを鋸歯状が施されていないノーマルのウイングとの比較試乗で実感した。
しかし、それよりも驚いたのはN-BOXのルーフエンドにこの鋸歯状の突起物を張り付けたもののあるなし比較。60km/hレベルの速度でも驚くほどリア、そして車体全体が安定するのだ。つまりエアロダイナミクスは我々が普段走らせている速度域でも充分に効果を出しているということ。当然、燃費にも影響する。
■実際のインディでもボーテックスジェネレータは効果絶大!
そこで筆者が長いレース人生で一番驚いた空力パーツの話をしよう。それは1994年から出場したインディ500でのこと。練習走行中にメカがフロントサスペンションとサイドポンツーンの間のモノコック両横に縦に小さなウイングを付けたのだ。メカはこれをボーテックスジェネレータと呼んでいた。
筆者は疑心暗鬼だった。なんといっても平均速度360km/h以上のインディ500。こんなものを付けたら抵抗になって遅くなるんじゃないかと。しかし、走らせるとすぐに感じた。驚くほどマシンが安定し、すぐにタイムアップしていったのだ。
当時のインディカーはF1よりも大きなタイヤを採用するフォーミュラカー。露出したタイヤはそこら中で乱れた空気の流れを発生するわけで、小さなボーテックスジェネレータは大きな整流効果を生んでいたわけだ。しかも速度域が高いからその違いをはっきりと感じられたのだ。
つまり、空気の流れを整流することは、それが車体のどこであっても効果が生まれる。レクサスのカナードも標準採用されるわけだから効果はあるはず。最近のクルマは燃費改善の目的も兼ねてエアロダイナミクスが進化している。だからよりいっそうカナードなど空力パーツの効果は大きい。
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