路線バスを外から見ると、ナンバープレートのほか車体に何やら数字文字記号が大抵書いてある。当然意味があるハズだが……神奈中バスを例に軽く探ってみよう。
文・写真:中山修一
■乗客用ではなくて社内向けのもの?
神奈川県を代表する大手バス事業者の神奈川中央交通(神奈中バス)。県内はもとより東京都と、ほんのちょっとだけ山梨県にまで行ってしまう一大路線網を築く同事業者の路線バス車両にも、例に漏れずユニークな数字記号が車体に見られる。
神奈中バスの車両の場合、通常は「な112」や「ち65」のように、平仮名と数字が組み合わさっている。車体正面から見て左側と横両側の後端、真後ろから見て左側の計4箇所に平仮名+数字の表示がある。
この平仮名と数字は、よく「車番」や「車号」、「社番」などと呼ばれるもので、車両本体の管理記号・番号にあたる。どちらかといえば利用者へのサービスというよりも、事業者内で車両の運用をしやすくするために記された社内向けの情報だ。
国に届出をする登録番号・いわゆるナンバープレートと車号に直接の関係はなく、事業者によって車号の書式が異なる。神奈中では平仮名と数字が採用されているわけだが、平仮名の部分には何かヒミツが隠されているのだろうか。
■車号の平仮名が持つ意味
「あ、い、お、き、さ、せ、た、ち、つ、と、な、は、ひ、ふ、ま、も、や、よ」……この18種類が、神奈中の車号に添えられた平仮名のバリエーションだ。ランダムに割り振られているのではなく、そのバス車両が所属している営業所がどこなのかを省略して示すために、平仮名が使われているわけだ。
あ:厚木 い:伊勢原 お:舞岡 き:厚木北 さ:相模原
せ:綾瀬 た:多摩 ち:茅ヶ崎 つ:津久井 と:戸塚
な:中山 は:秦野 ひ:平塚 ふ:藤沢 ま:町田
も:橋本 や:大和(鶴間操車所) よ:横浜
以上がそれぞれの平仮名が指す営業所になっている。あつぎの「あ」、いせはらの「い」といった、最初の文字を充てるのが基本ながら、舞岡と町田のように「ま」がカブってしまう場合、まいおかの「お」とするなど、他で使われていない平仮名が選ばれる。
さらに、ちょっと変わったところでは「教」があり、こちらは乗務員訓練などに使う教習車に付けられている。教習車を持っている営業所は何箇所かあるが、「教」に限り各営業所共通となっている。