■ディーラーオプションをディーラー外で取り付ける場合も
一方のディーラーオプションでも新しい動きが出てきている。新車ディーラーはセールスマンやメカニックなどを多く雇用する“労働集約型産業”と言っていいだろう。
そのような新車ディーラーでは、コロナ禍が落ち着きを見せはじめたころより発生した、半導体不足など世界的なサプライチェーンの混乱などによる新車の長期的な納期遅延が、経営を大きく揺るがせた。
新車販売の世界において販売実績としてカウントできるのは、新規登録(軽自動車なら届け出)が完了する必要がある。つまり、ナンバープレートが取れて初めて販売実績として計上できるのである。
しかし、新車の受注はもらえるものの、いつまでたっても納車ができなければ販売実績として計上することはできない。このような動きがディーラーの経営をじわじわと圧迫したとされている。
そんなディーラーにとって最大のコストは人件費であるが、セールスマンもメカニックも人員不足が深刻で、とてもではないが「人減らし」などはできない。
そのため、メーカーから搬入された新車の最終検査や、フロアマットやサイドバイザーといったディーラーオプションを装着する部門の廃止や規模縮小を行うディーラーもあると聞いている。
中には、各店舗のメカニックがフロアマットやサイドバイザーなどのディーラーオプションを装着しているところもあるようだ。ただメカニックは日々持ち込まれる点検・整備車両への作業に日々追われており、そのうえでディーラーオプション装着を行うことは過度の負担に繋がる。
別の話では、メーカーの生産工場で完成車がラインオフされると、近くにディーラーオプション装着を行う工場があり、そこで一括してフロアマットなども敷いて各ディーラーへ完成車を出荷するというメーカーもあるらしい。
このケースでは働き手不足対策という側面も大きく作用しているようだが、工賃収入が大きいボディコーティングだけは店舗に届いてから作業を行うことになっているとも聞いた。
■簡易な装備品はユーザー自身が取り付ける流れに?
アメリカでは、フロアマットは標準装備が当たり前となっている。ディーラーで新車を購入してトランクやラゲッジルームを開けるとビニール袋に入ったフロアマットが積んであり、それを購入者自らがフロアに敷くようだ。
筆者としては、比較的短時間で取り付けでき、作業も簡単なディーラーオプションは、将来的にはアメリカのように納車時には車両に積んであり、自分で装着するような時代がくるのではないかと考えている(もちろん有償でディーラーに装着を頼むことはできるだろう)。
取り付けが簡単とはいえ、リアのナンバーフレームを登録車に装着するような場合は、ナンバー封印前に作業する必要があるので、このようなものは引き続き納車前に装着されるようになるものと考えられる。
新車価格におけるディーラー利益がここのところの物価上昇でどんどん減ってきている。
そもそも「新車を売っても儲けは少ない」と言われていたのだが、それはディーラーオプションでも同じ。用品そのものを売った利益よりも、それによる作業工賃を重視していろいろ商談時に勧めてきたりするのである。
とくに前述したボディコーティングはその最右翼といっていいだろう(施工価格の大半は工賃となる)。前述したダイハツの後付けブラインドスポットモニターの取り付け工賃も約1.5万円となっており、「おいしい用品」といっていいだろう。
最近はほとんど見られなくなったが、過去には「安く上げてくれ」という顧客に対してこんなことが行われることもあった。新車商談をしているとディーラーオプションを正式な注文書には計上せず、欄外に手書きで別払い扱いとして計上したり、名刺に裏書きするなどして現金払いとするのだ。
このような場合は、ディーラーを正式に通さず、メーカー純正ではない汎用マットなどが用意されたり、カーナビなどを社割(社員割引き)で購入し(あるいは汎用品)、メカニックにバイト代を払うなどして非正規な取り付けを行っていたようだ。
「安くあがればいい」という人もいるかもしれないが、こうした手法だと取り付け作業に関する保証が受けられないなどのリスクがあることも覚えておいて欲しい。
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コメント
コメントの使い方ナビはスマホに限る!!
30万円支払って取り付けても、その時点で地図は1年前。更新ごとにお金盗られる
スマホなら常時、新しい地図が見られ、しかも判りやすい。