国交省主導?? それとも「こだわり派」が消えた?? 左ハンドルの設定が激減した理由とは

 輸入車の多くはいまや右ハンドルをラインナップに取りそろえ、左側通行の日本市場に適用しているのがもはや「普通」になってきた。

 しかし少しさかのぼれば、左ハンドルにこそステータスを感じる消費者も一定数いたようにも思える。ところが前述のとおり右ハンドルの輸入車が増えている。

 この背景には「どうやら国土交通省が左ハンドルだと型式認定を出さない」とか、「国が積極的に左ハンドルを排除している規則がある」なんて噂がネット上では絶えない。

 この左ハンドル現象の要因について、国土交通省およびインポーターに聞いてみました。

文:奥野大志/写真:ベストカー編集部


■国土交通省は特段左ハンドル規制をしていない

 輸入車のシンボルといえばやっぱり左ハンドル。ベストカーWebの読者の中には、輸入車に乗るなら左ハンドルという人もいるだろう。

 しかし近年、左ハンドルの存在感が急速に薄まっているのも事実。メルセデス・ベンツのCクラスやBMWの3シリーズなど、売れ線のモデルはほぼ右ハンドルのみという状況だ。

 実は輸入車の左ハンドル規制について、ある噂がある。それは左ハンドル車の台数を制限したい国土交通省が、認可の段階で何らかの規制をしているというもの。

多くの輸入車は右ハンドルを設定するがフェラーリなど少数生産のスーパーカーには右ハンドルがないことも(あっても選ばないオーナーが多い)。法規制として国交省がコントロールしているのだろうか?

 もし、役所が右ハンドルの導入を奨励しているのなら、今の状況も大いに納得がいく。筆者は国土交通省に電話インタビューを試みた。

 結論から先に言うと、その噂はまったくのガセだった。

 対応していただいたのは国土交通省の技術課で、電話に出た担当者はこう答えた。

「国内の基準不適合で弾かれることはあっても、左ハンドルだからという理由で弾かれることはありません。とにかく基準に合っているかどうかです」

 国土交通省が左ハンドル車の台数をコントロールしていることをきっぱり否定した。

 言い換えれば、今の右ハンドル車の隆盛はマーケット主導ということ。そこで、今度はインポーターに事情をうかがってみた。

■左ハンドル比率は10%以下にまで落ち込んだ??

 まずはルノー。ルノー・ジャポンは一部のモデルをのぞき、全車右ハンドルを導入しており、右ハンドルへの熱量が高いメーカーとも言える。

久々の名車復活ということで話題になったアルピーヌA110。ルノーにしては珍しく左ハンドルも初期からラインナップしていた記憶があったが

「シンプルな結論ですが日本が左側通行なので、右ハンドルがベストという理由です。いわゆる標準車の左ハンドルを入れていたのはもうだいぶ前ですね。

 現在は限定車で左ハンドルを入れるのはちょくちょくやっています。直近でいうとアルピーヌA110、その前は先代メガーヌRSの限定車ですね」

 左ハンドルの設定はスポーツモデルがやはり多いようだが、実際はどうだろう?

「スポーツモデルを左で乗りたいという人はいます。ただ、アルピーヌA110は右、左どちらのハンドルも選べるて、実際に右ハンドルのほうが数は出ています。

 左ハンドルの導入をいったん停止することになったので、左は在庫のみとなっています」

ベストカーWebが試乗したプルミエール・エディション(先行予約限定車)は左ハンドルだった。現在では左ハンドルは在庫のみになっている

 左ハンドル導入は実はコストがかかるから避けたいのだろうか?

「コストの面でもそうですが、我々とルノーのクルマを入れる仕組み上も成立しづらいんですね。

右も左を選べるような形で日本にクルマを導入するのはなかなか難しいんです。可能な範囲で左を適時投入という感じですね」

 お次はBMW。ご存じの通り、幅広いラインナップを展開しているが、冒頭から衝撃的な数字が飛び出した。

ミドルセダンのベンチマーク新型3シリーズは32oi、330i共に右ハンドルのみの設定。もちろんM3などスペシャルモデル登場時は左ハンドルの導入の可能性もあるだろう

「左ハンドルの割合? 現在は10%以下ですね。日本市場では右ハンドルの需要が圧倒的に高いです。

 左ハンドルに関してはお客様の需要ですとか、過去の実績を見ながら、どのモデルを入れるのか検討しつつ採用しています」

 左を設定しているモデルにはどんなタイプが多いのだろうか?

「スポーティなタイプですとか、コアなファンが求めるモデルに関しては、一部左ハンドルを導入しています。とはいえ、左ハンドルのみを入れるということはないですね、入れるにしても左右選べるようにしています」。

 実際にBMWのホームページを見てみると、モデルごとにハンドル位置を細かく設定していることに気づく。

 例えば、2ドアボディの4シリーズ。クーペは右のみだが、カブリオレは右と左を設定している。これがM4になると真逆でクーペは右と左、カブリオレは右のみの設定となる。

ドライバーオリエンテッドなBMWのインテリア。右ハンドルであっても操作性や視認性などにかつてのような違和感はほぼない

 右ハンドルは全車に設定し、左ハンドルはお好みでというところだろう。

 一般的な輸入車において、左ハンドルがステータスを持っていた時代は、遠い昔のことなのかもしれない。

 少なくとも、不便さをとってでも左ハンドルに乗りたいという人が激減したのは間違いない。

 もちろんそれだけ輸入車が一般的な存在になったからであり、右折時の視認性のよさなど安全面でのメリットは右ハンドルは大きい。

 右ハンドル設定が増えるのは決して悪いことではないのだが、一抹のさみしさを感じるのは筆者だけではないだろう。

★ ★ ★

【左右通行帯の例】

 日本はご存知のとおり左側通行の右ハンドルだが、諸外国ではどうなっているのか? 簡単にまとめてみた。

(左側通行)
・イギリス
・オーストラリア
・ニュージーランド
・インド
→イギリスの植民地、統治下にあった国と地域が多いのが特徴。

(右側通行)
・アメリカ
・カナダ
・ドイツ
・イタリア
・中国
→世界的に見れば右側通行がデフォルトとも言えそうだ。

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