■小国家の軍事力に匹敵するアメリカ海軍の空母打撃群
空母は搭載する艦上機、空母を護衛する複数の駆逐艦などの水上戦闘艦、潜水艦、給油艦や補給艦で構成される戦闘部隊を編成して運用される。
特に規模も軍事力も世界一であるアメリカ海軍の艦隊は、原子力空母とそれに艦載される航空団を戦闘部隊の主力として編成され、空母は洋上で航空兵力による強力な攻撃力を保有し、他の艦艇は空母で構成されるグループの一員として艦隊を防護・支援する任務についてきた。それが空母戦闘群(CVBG)である。
冷戦終結後、米ソのような2大勢力による洋上決戦の脅威がなくなり、洋上決戦兵器としての空母の役割は薄れたが、世界各地で頻発するようになった地域紛争やテロに対抗するための洋上基地としての重要度は増した。とはいえ近年の中国の海軍力の著しい増強や、海洋進出は大きな脅威となっており、再び洋上決戦兵器としての空母の役割は大きくなっている。
21世紀に入ってアメリカ海軍は大改革を行い、保有していた大艦隊をスリム化、一方ではハイテク化を進めて精密誘導爆弾を始めとした攻撃力、各種センサーによる情報収集能力、デジタル・データ通信システムやC4I戦術情報システムによる兵器の運用能力などを飛躍的に向上させている。それにより原子力空母を中心とする空母戦闘群は強力な攻撃力を持つ艦隊(任務部隊)へと変化、名称も変わって空母打撃群(CSG、2006年頃より改称)となった。
現在、複数の空母打撃群を保有し常時洋上に展開しており、いつでも世界の海に進出し、陸上への力の投射が可能である軍事力を持つことで、アメリカのプレゼンスを示す任務を帯びている。そして1つの空母打撃群の戦力は小国家の軍事力に匹敵すると言われている。
ちなみにイギリス海軍でも空母を中心とした戦闘部隊を編成して作戦を展開する際には、空母打撃群の名称を使っている。
■海兵隊を乗せて運用される強襲揚陸艦
アメリカ海軍では、空母打撃群に並ぶ規模を持つ遠征打撃群(ESG)を保有している。その特徴は、揚陸作戦を含めた地上戦を主務とする海兵隊と海上における対空戦および対水上戦を主務とする海軍の部隊を統合し、多用途な任務に対応できる能力を持つ部隊であることだ。
アメリカ海軍では、海軍の揚陸隊(PHIBRON)と海兵隊のMEU(海兵遠征隊)は出撃命令が下ると直ちに出撃できるようにペアを組んで即応待機と緊急出撃態勢を採っている。
海軍の揚陸隊はワスプ級あるいはアメリカ級強襲揚陸艦、サンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦、ホイッドビー・アイランド級あるいはハーバーズ・フェリー級ドック型揚陸艦で構成され、出撃命令が下るとそれらの3隻の揚陸艦にMEUを載せて揚陸即応群(ARG)として機動展開するのだ。この時さらに水上戦闘群と攻撃型原潜が加わると遠征打撃群(ESG)となる。
遠征打撃群と揚陸即応群の運用上の違いは、前者は湾岸戦争のような大規模戦争等の際に編制されるもので、通常は揚陸即応群が任務に当てられる。アメリカにとって世界のどこかに軍を派遣しなければならない時に使われる部隊の1つが揚陸即応群で、出撃命令から5日以内に地球上の75%の沿岸海域に展開して、6時間以内に水陸両用作戦を展開できるという。常時即応体勢をとる揚陸即応群は2~3個あり、即応群の中心として旗艦となるのが強襲揚陸艦だ。
MEUは海兵隊の作戦任務部隊の最小規模の編成で人員が最大2200名、小規模ながら地上部隊と航空部隊、それに兵站部隊を加えることで統合作戦が可能、かつ独立した作戦遂行能力を持つ部隊である。
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コメント
コメントの使い方ベスト「カー」なのに船の記事要る?ましてや軍オタ向けの。
そのうち萌えアニメとかフィギュアの記事も堂々とやるんでしょうね。高尚なご趣味の方々にあわせて。
今更そこ? ベストカーはこれまでもわりと乗り物系なら何でもネタにしてきてるやん。この記事がたまたま目に付いたのかもしらんけど。