■他メーカーにあってトヨタにないものとは?
(TEXT/編集部)
●EV
2020年までの投入が言われているが、現時点の国産メーカーでEVといえば日産のイメージが強く、やはりやや出遅れている感がある。
ただプラグインハイブリッドなどで技術的な蓄積はあるため、「パワーソースをすべてバッテリーに代えるだけだから、技術的なハードルはそんなに高くない」(鈴木直也談)という見解もある。
●ディーゼル
ハイラックスやランクルプラドにディーゼル車を用意するが、マツダのように小型車用のものはない。
欧州では例のディーゼル不正問題から脱ディーゼルが進むと言われるが、欧州メーカーの多くはそれでもディーゼルは残ると判断しており、将来的にどうなるかは、まだハッキリしない。
が、トヨタには得意のハイブリッドがあるため、一部地域用のものを除き、積極的にディーゼルを開発することはないだろう
●強力なチューンブランド
GRブランドからモデルを展開しているが、正直、NISMOやSTIレベルの知名度には届いていない。
まだ歴史が浅いということもあるが、「GRMN→GR→GRスポーツ」というヒエラルキー構造が、少しわかりづらいというのも影響している可能性がある。
まずは強力なチューンドモデルを出し続け、「トヨタのGR系はヤバイよ」というイメージを作るのが大事だ。
* * *
■結論 トヨタの死角、その断片は…?
どんなに強いものにも“ほころび”はある。トヨタとて例外ではない。という視点のもと、企画を展開してきた。
企画冒頭で取りあげたとおり、販売面での世界戦略、新たな技術開発など、トヨタが歩む姿は巨人たる堂々としたものだ。
豊田章男社長がよく口にする「100年に一度の大変革の時代」を生き抜くためのモビリティ社会への構築も、トヨタは着実に進めている。……しかし、多くのクルマ好きの心をつかみきっていないのも事実だろう。
トヨタの死角の断片はそこにあると思う。“心満たすクルマ作り”、これを期待したい。トヨタなら応えてくれるはず。
【番外コラム】 くっきり見えてきた! スズキとの協業で生まれるクルマの姿
(TEXT/編集部)
紹介してきた通り、トヨタに「アキレス腱」があることは確かだが、新たな戦略を多数持っていることもまた事実。
そのひとつが「スズキとの協業」。トヨタとスズキは2017年2月に業務提携に向けた覚書締結、その具体的中身が今年3月20日に発表された。そのポイントを紹介しよう。
●両社の強みが融合
「トヨタの強みである電動化技術と、スズキの強みである小型車技術を持ち寄ってクルマ作りにあたる」、これが大前提とする主旨。
これにより、生産領域での協業や電動車の普及など、有益なチャレンジが広がっていくわけだ。
大きなトピックは、トヨタのハイブリッドシステム「THS-II」をスズキが使うということ。上の本文では“旧態化”と表現したが、市場ニーズが高いことは今も変わらない。
そのことを含め、トヨタとスズキの協業の具体的なものは次のとおり。
●トヨタの強み、電動化技術、電動車の供給
①スズキへTHS-2を供給する。市場/グローバル。②ハイブリッドシステム、電池の現地調達化によるインドでのハイブリッド技術の普及。市場/インド。③スズキへの電動車OEM(RAV4、カローラツーリング)供給。市場/欧州。
●スズキの強み、小型車・小型パワートレーンの供給
①スズキ小型モデル(シアズ、エルティガ)をトヨタにOEM供給。市場/インド。②デンソーとトヨタが支援するスズキの新開発エンジンを、トヨタの小型モデルへ搭載。市場/欧州。③スズキの小型車(バレーノなど)を、トヨタのアフリカ市場向けにも供給。市場/アフリカ。
●両社の強みを生かした開発・生産領域での協業
①トヨタCセグメントMPVの共同開発と、スズキへのOEM供給。市場/インド。②2022年からトヨタキルロスカ自動車でスズキ小型SUV(ビターラプレッツァ)を生産。市場/インド。
……すべてグローバルでの話だが、日本市場にも魅力あるモデルが売られるはずだ。
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