日産ヘリテージコレクションの名車たち(迷車と珍車も含む!?)を紹介していく新企画の1回目は、今なお復活の声が途絶えることのない名車である歴代シルビアきっての人気者、5代目S13型をクローズアップしよう!
文/大音安弘、写真/池之平昌信、ホンダ
■走りもデザインも一級品だった!
S13型シルビアは1988年5月17日に発表され、同日より販売を開始。当時は、「技術の日産」として、世界で勝負できるクルマ作りに挑んでいた時代である。後輪マルチリンクサスペンションを備えたFRレイアウトを始め、高出力のターボエンジン、後輪操舵機能「ハイキャスII」などにより走行性能も新技術でしっかりと磨き上げていた。
しかし、それはシルビアの魅力のひとつに過ぎない。同様に力を入れていたのが、デザインだ。「ART FORCE SILVIA」(アートフォース シルビア)のキャッチコピーが物語るように、洒落っ気も重視した。
その背景には、デートカーとして一世を風靡した3代目「プレリュード」の存在があり、その撃墜を狙って徹底的に磨き上げられたが、S13だったのだ。この頃の日本は、バブル経済の真っただ中。消費者の購買欲も高く、若者も高価格帯商品への関心が高く、クルマもよく売れた。その時代が生んだ名車といっても過言ではないだろう。
■当時はまだ高額な物品税が課せられていた
撮影車について紹介しよう。発売年である1988年式の「Q´s」だ。同グレードはシリーズの中間グレードであり、最量販を誇った。それにATなどのオプションを装着したものである。
発売時のシリーズ価格帯は、166万5000~214万円(5速MT・東京・名古屋・大阪・福岡地区の価格)で、撮影車のQ´sの車両本体価格は176万5000円(MT仕様・オプション含まず)。今の感覚では「安い」のひと言だが、まだ消費税もなかった時代であり、この価格のうえに高額の物品税が課せられていた。
そして忘れてはいけないのがエアコン。まだ当時は高価なオプションであり、フルオートエアコンは、21万2000円のディーラーオプションであった。そして、印象的なライムグリーンツートンは、前期型のイメージカラーであり、カタログでも主役。
メイン掲載車が、Q´s AT車の純正アルミホイール装着車だったので、より当時の雰囲気を思い起こさせてくれる。搭載エンジンは、自然吸気仕様のCA18DE型で、最高出力135ps/6400rpm、最大トルク16.2㎏m/5200rpmに過ぎないが、車両重量が1100kg前後と軽量なこともあり、充分な性能を備えていた。
驚くべきはタイヤサイズで、なんと標準のフルホイールキャップ仕様が185/70R14、アルミホイール仕様でも、195/60R15に過ぎなかった。
コメント
コメントの使い方このシルビアは良かったね。次が残念過ぎた。