■ホンダ シビックタイプR(価格:450万360円)
ベストカー:そういうことをちゃんとやれれば人馬一体感があるということですね。では次はどのクルマにいきます?
山野:シビックタイプRにしましょう。タイプRは今回の、低い気温に雨という条件に強いタイヤを履いてましたね。コンチネンタルですが、ゴムが柔らかいんですよ。試乗を終えて帰ってきたらタイヤから湯気が出てた。それだけ発熱性がいいということです。冷たい雨の中でも発熱するということで、条件問わず速く走れる。そういう意味も含めて一体感がありました。
ベストカー:タイヤのグリップが強力なことによって、安心感があるということですか?
山野:安心感はあります。ですが3速でもホイールスピンするくらいエンジンパワーが凄い(笑)。パワーは本当に強烈ですね。ジェット機かっていうくらいの加速度。人間をワクワクさせるものを持っています。でもそのパワーを使い切るのはけっこう難しくて、MTを上手く使いこなさないと、ターボラグが出る。
ベストカー:人馬一体という意味では、あまり評価できない?
山野:少し怖いくらいのパワーがあるから、人馬一体というのからはちょっと外れるところはある。でも、楽しい。例えば競走馬で考えた場合、破格のパワーを最後の直線で出す馬がいたとしたら、1位になれる。それは騎手に自信を与えてくれますよね。このクルマも一緒で、ドライバーに自信を与えてくれます。
ベストカー:足回りはどうですか?
山野:クルマの重さを感じられる部分があって、操舵すればするほど、重いフロントに対してタイヤが頑張ろうとしている雰囲気が伝わってくる。でもこのクルマのいいところはそこでスッポ抜けないで、必ずグリップしたまま外にはらむんです。
さらにブレーキを残したままコーナーに入ると、ちゃんとオーバーステア傾向になる。このサイズのクルマでオーバーステアにできる仕様にしたところは、人馬一体として評価したいですね。
●シビックタイプRの人馬一体度:75/100
■スズキ スイフトスポーツ(6AT/価格:190万6200円)
ベストカー:お次は今回用意した4台のなかで唯一のATとなったスイスポでお願いします。
山野:スイスポは人馬一体感ありますね。その人馬一体感はアクセラレーション、いわゆる加速のしかたが凄いドライバーの右足と連携していて、踏んだら踏んだだけ前に出る。僕はMTにも乗ったことありますが、ATのほうが加速感が強い。そういうクルマってあんまりないんですよ。
ベストカー:MTとの加速度の違いはどこからくるのでしょう?
山野:ターボってアクセルを緩めるとタービンの回転が1回落ちて、そこから元の回転に戻るまで2秒くらいかかるんですね。でもATだとアクセル全開のまま勝手にシフトアップしていくんで、そこでしょうね。その切れ目のない加速、アクセルに瞬時にクルマが反応するっていうのは、人馬一体度が高いと感じます。
あ、あとブレーキがすごい効きます。特にデカいブレーキがついてるわけでもないのに、あのストッピングパワーには唸らされましたね。
ベストカー:コーナリングとかはどうですか? これはMTもATもさほど差がないと思いますが。
山野:ここが少しもったいなくてですね、ステアリングを切ると、すごい時間をかけてロールしていくんですね。すぐに曲がろうとするんじゃなくて、先にロールをして、ロールが止まった後にクルマが曲がり始める。
フロントのロールが終わるとオーバーステアが出て、リアがきれいに流れるんだけど、ドライバーはたぶんちょっとビックリすると思う、時差があるから。でもまぁ車両の金額のこととかも含めて考えると、いいクルマだと思いますよ。
●スイフトスポーツの人馬一体度:80/100
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