かつては、国産車のドアハンドルといえば、手を下から差し込んで引くフラップ型が主流だった。しかしながら、2000年を越えた頃から、持ち手を握り込んで引くグリップ型のアウタードアハンドルを採用するクルマが増え始め、昨今では、多くのクルマがグリップ型を採用している。いったいなんで?
文/吉川賢一、写真/SUZUKI、TOYOTA、LEXUS、NISSAN、HONDA、MITSUBISHI ほか
■復刻となったランクル70はフラップ型を採用
2023年に登場した主要な新型車のアウタードアハンドル事情を確認してみよう。
代表として、2023年のCOTYノミネート10ベストカーのアウタードアハンドルを見てみると、フィアット500eとグレカーレ、ID.4はフラップに近い見栄えのスイッチ型だが、アルファード/ヴェルファイア、ZR-V、レクサスRX、RZ、デリカミニ、N-BOX、セレナ、クロストレック、などはグリップ型だ。
また、リアドアにフラップ型を使っていた先代スイフトも、2023年12月6日に登場した新型ではグリップ型へと戻されている。
ただし、このたび復刻となったランドクルーザー70は旧来のフラップ型だ。当時を知る人が、ランクル70のアウタードアハンドルを見て、懐かしさやロマンを感じるかは分からないが、ランクル70を表現する上では必須アイテムなのだろう。
■小さく、軽く、安くつくることができるのがフラップ型のメリット
フラップ型のメリットは、グリップ型と比べて構成部品が少ないので、小さく、軽く、安くつくることができるとことだ。商用の軽自動車や小型トラックなどで、いまでもフラップ型を採用するクルマが多いのはそのためだ。
また、フラットに近い状態になるために、アウタードアハンドルの存在感を消して、スタイリッシュにみせることができる。新型プリウスやヴェゼルがまさにそのパターンで、後席のアウタードアハンドルをフラップ型にして、デザインに紛れ込ませ、2ドアのクーペSUV風に魅せている。
フラップ型のメリットとして、「グリップ型よりも出っ張りが少ないから空気抵抗低減に効果的」とされることもあるが、もちろん効果はなくはないものの、空気抵抗はドアハンドルよりもドアミラーなどのほうがはるかに大きく、アウタードアハンドルを平らにしたところで、クルマ全体で見れば大差ない。
ここ20年の間のシミュレーション技術の進化によって、空気抵抗の低減(風切り音にも)には、車両後方や車両下面、タイヤ周りなどを流れる気流をうまく車両後方へ流すよう、念入りにボディラインやパーツの形状を設計するほうが、何倍も影響度が高いと分かってきている。
こうしたことから、一般の乗用車において、この空気抵抗低減を狙いとしてフラップ型を採用することはあまりないように思う。
コメント
コメントの使い方特にこだわりないですが貧乏な私の仕事兼用の愛車がフラップ型以外になるのは当分先と言うことがわかりましたw
いつか軽トラもMTの様にフラップ型が珍しくなる日が来るのかなあ
グリップ式はドアロック/アンロック機能の
センサーの設置との相性の良さもあると思います。