「小回りがきくクルマ」ときくと、軽自動車やコンパクトカーといった小さなクルマが頭に浮かびますが、比較的大きなクルマであっても、小回りがきくクルマもあります。全長5m超えでもコンパクトカー並みの小回り性能をもつクルマを4つご紹介します。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、AUDI、Mercedes-BENZ、BYD
大型車の最小回転半径は、5.5m未満なら優秀
小回り性能は、「クルマ(の幅や長さ)が大きいほど劣る」というものでもなく、ホイールベースやフロントタイヤの最大転舵角によって大きく左右されます。小回り性能は、カタログに記載されている最小回転半径で判断できます。軽自動車であれば4.2~4.6m、コンパクトカーなら4.8~5.7m、ミドルクラスSUVなら5.4~5.8m、その上の大型車になると5.8mオーバー、といったところが一般的な値。ただし最小回転半径は、クルマのオーバーハング(タイヤセンターよりも前、もしくは後ろの部分のこと)は加味されていないため、実際の小回りのしやすさとは少し異なります。
トヨタ「クラウンクロスオーバー」 最小回転半径:5.4m
クラウンクロスオーバーは、全長が4,930mm、ホイールベースが2,850mmと、かなりの大型ボディですが、全グレードが最小回転半径5.4mを達成しています。この5.4mという最小回転半径は、小柄な新型プリウスと同じという、驚異の小回り性能。これは後輪操舵のDRS(ダイナミックリアステアリング)を標準装備したことによるもので、車庫入れの際など、車速が低いときは、リアタイヤをフロントタイヤとは逆方向に最大で4度までステアすることで、小回りがきくようになっています。
先代の220系クラウンの2WDモデル(後輪駆動)も最小回転半径は5.3~5.5mと小さめでしたが、4WDモデルとなると5.7mへと悪化しています。4WDはフロントにドライブシャフトがあるため、(当たらないように)フロントタイヤがステアできる角度に規制をかけていることで、最小回転半径が大きくなりがちなのです。クラウンクロスオーバーは全車4WDですので、リア側で曲がるようにしたのでしょう。なお、クラウンスポーツも5.4mですが、新型クラウンセダンは5.7~5.9mとやや大きめです。
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