■実にわかりにくい!! “追い越し禁止”関連の標識をチェック
既出の1の「標識などにより追い越しが禁止されている場所」には標識が掲げられているが、それに加えて「追越し禁止」の文字や矢印マーク、「ここから」や「ここまで」などの文字の入った補助標識などによって微妙に意味が異なるので再確認しておきたい。
●補助標識なしの追越し禁止標識
補助標識なしのこの標識は「追い越しのための右側部分へのはみ出し通行禁止」の意味。つまり、追い越しを禁止しているわけではなく、右から追い越すときに車線をはみ出さなければ追い越しは可能なのだ。
とはいえ、はみ出さずに追い越しができるほど幅広い道路は意外と少ない。前車の横ギリギリを通過&車線をはみ出すことなくなんとか追い越せそうでも、実際には非常に危険なのでやめたほうがいい。
●補助標識ありの追越し禁止標識
追越し禁止の標識の下に、ダメ押しのように「追い越し禁止」という標識=補助標識が表示された標識は、文字通り、右側にはみ出してもはみ出さなくても追い越しそのものが禁止なのだ。
●追越し禁止標識に標示される補助標識
補助標識には「追越し禁止」以外にも、上記のような矢印や文字が表示されているものもある。右矢印と「ここから」は同じ意味で、標識の指示は「ここから追越し禁止が始まる」ということ。
左矢印と「ここまで」も同じ意味で、標識の指示は「ここまでで追越し禁止が終わる」ことを指している。
■筆者が現実に遭遇した「追い越しも追い抜きも禁止場所」での危ないシーン
「追い抜きは、道路交通法に特に記載はない」と前述したが、実は「追い越しも追い抜きも禁止されている場所」がひとつだけある。
それは、前述した道路交通法30条の8と9で示されている「横断歩道や自転車横断帯と、その手前から30m」である。イラストでいうとまさに上記のようなシーン。
筆者はある夜、郊外の道路を走っていた。前車は背の高いワンボックスカーで、自車は普通車。暗い道路で前車がゆっくりとブレーキをかけたので、「左に停車するのかな?」と右ウインカーを出して追い越そうとした。
すると、前車の前に横断歩道を示す白いラインがチラリと見えたので、即座にウインカーを戻した。
すると、私のクルマの後ろにいたクルマも右ウインカーを出していて、まさに追い越しをかけようとしていたのだった。
慌ててウィンドウを開けて右腕を真横に出して「止まれー!」と叫んでしまった。後車はそれに気づいてくれ、追い越しをやめてくれた……。
横断歩道には左の方からゆっくりと歩き出した高齢者がいたので、ゾッとしたのだった。歩行者は、横断歩道に接近するクルマが停止すればほぼ間違いなく歩行を開始するだろう。
このシーンでは、先行車の死角になって横断歩道や歩行者が見えない場合がある。
また、仮にここが2車線道路で自車が左車線であっても、右車線上に自車より少し前を走るクルマがいれば、右から歩いてくる歩行者が見えないこともある。
ここで追い越しや追い抜きが禁止されていなかったら……非常に危険なのは理解できるだろう。
だから、「横断歩道や自転車横断帯と、その手前から30m」は追い越しも追い抜きも禁止されているのだ。
特に夜間では、横断歩道や歩行者の認知は遅れがち。前車がブレーキをかけたら「何かあるのでは?」と一瞬考える余裕をもって走りたい。
【画像ギャラリー】“追い越し”と“追い抜き”の違いをチェック!(7枚)画像ギャラリー
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