トヨタのC-HRはコンパクトSUVにおいて、2019年1~5月の販売台数でトップセラーに君臨している。とはいえ2016年登場でそろそろ次期型や大きく手を入れる改良も聞こえてきそうなタイミングなのに、だ。
登場時は「奇抜すぎる」という意見も多く聞かれたC-HRだがどうやら消費者の反応はちょっと違ったようだ。
なぜC-HRはいまだに売れ続けるのか。販売店の証言とともにお伝えしよう!!
文:遠藤徹/写真:トヨタ
■実はヴェゼルよりも売れているC-HR
トヨタのコンパクトSUVである「C-HR」はモデルが古くなったが、今なお好調な売れ行きで同クラスのトップセラーに君臨している。
同クラスの今年1~5月における銘柄別登録台数はC-HRが2万7879台に対してホンダヴェゼル2万7302台、スバルXV1万1827台、マツダCX-3=5939台、日産ジュークは1784台だ。

ヴェゼルとはデッドヒートを展開しているものの、以下の各ライバル車を大きく引き離している。各モデルの発売年月はC-HRが2016年12月、ヴェゼル2013年12月、CX-3=2015年2月、XV2017年4月、ジューク2010年6月となっている。
ライバルと比較すると新しいモデルではあるが、C-HRは発売後2年半が経過している古いモデルにも関わらず健闘しているといえる。
この要因として首都圏にあるトヨタ系列店の営業担当者に聞いてみると消費者からは以下のような反応があるという。
・スタイルのかっこよさ
・1.2リッターターボの走りと1.8リッターハイブリッドの燃費のよさ
・リーズナブルな価格設定
・トヨタセーフティセンスによる安全対策の高さ
・高いリセールバリュー
これに加えていえば強力な販売力も貢献度が高いといえるだろう。扱い店はトヨタ系列店のトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の全店だから強力である
。販売拠点は全国で約5000店舗、推定営業マンは約4万人でホンダ、日産、マツダ、スバル店に比べると1.5~2倍の店舗や営業マン数であるから、ライバル各販社と比べ物にならないくらいのスケールといえる。
性能や燃費は1.2リッターターボが性能面で、1.8リッターハイブリッドが燃費面で売りとなっている。

ヴェゼルは性能面で今年1月に1.5ターボのツーリングを加えてC-HRをリードしているが、280万円もの高さがネックでこちらはあまり売れ行きがよくない。
車両本体価格はC-HRが229~297万9200円なのに対してヴェゼル207万5000~292万6000円、CX-3=212万7600~306万2000円、XV213万8400~282万9600円、ジューク197万5320~346万8960円と大差ない。
ほぼ同じ価格帯だがC-HRはやや高めの印象がある。ただ搭載するパワーユニットは売りのハイブリッドだとC-HRが1.8リッターの2モーターに対してヴェゼルは1.5リッターの1モーター。
パフォーマンスを考慮するとC-HRの方が割安ともいえる。
■C-HRがライバルよりも大幅値引きできる理由
忘れてはいけない値引きについてだが、初期値引きを比べるとC-HRが25万円に対してヴェゼルなど各モデルはいずれも20万円以下のケースが多い。
値引きまで考慮するとただでさえ割安感のあるC-HRはさらに買い得といえる。
またヴェゼルはハイブリッド車の方がNAガソリン車より40~50万円高いのに、販売店のマージン幅が小さいので5万円程度値引きは渋い。
これに対してC-HRはガソリンもハイブリッドも同じマージン体系だから、ハイブリッドも同様に値引き幅は大きい。

詳しい方ならご存知かと思うが、一般的には大幅値引きをすると手放す時のリセールバリューが安くなるという傾向が強まる。
ところがC-HRの再販価格は同クラスで最も高く、特にハイブリッド車は設定価格同様に高値で手放せる強みがある。
2019年末には3年ぶりにマイナーチェンジを実施するとの情報も入ってきた。内外装のデザイン変更や安心パッケージの「トヨタセーフティセンス」をさらに進化させて、検知機能の強化、自動ブレーキの速度引き上げなどを実施する。
またカスタマイズモデルの「GRスポーツ」を追加設定して商品ラインアップを強化するので、以降売れ行きはさらに加速する方向にあり目が離せない。
【首都圏トヨタ営業マンは語る】
販売する側にとってもC-HRは同クラストップの人気の高さだから売りやすい。スタイリッシュなエクステリアデザイン、クオリティや走りのポテンシャルの高さ、リセールバリューの高さなどが売りとなっている。
今は消費税引き上げを前にした駆け込み需要を見込んだ買い得キャンペーンを実施しているので特に売れ行きが高まっている。ただ同じトヨタ系列店同氏の競争も激しいので安閑としていられない状況にある。