初代のネガを解消しつつ方針転換した2代目
北米市場で非力だとされた初代エスティマだが、フロア下の狭いスペースに収められる大排気量エンジンはなく、後にスーパーチャージャーを搭載してパワー不足解消を狙ったものの、3.0L以上の排気量やV6のスムーズさには敵わなかった。
そこでエスティマは、2代目ではカムリをベースとしたFFレイアウトに変更、エンジンも3.0LのV6が搭載可能となった。初代と同様、たまご形のワンフォルムデザインを採用しつつ、低床化で実用的な空間を確保。両側スライドドアの採用や、ハイブリッドの追加設定など、ファミリーカーとしての魅力を大いに高めた。
このころには、「ルシーダ/エミーナ」のヒットによって、エスティマに「革新的なミニバン」のイメージが定着しており、2代目エスティマは、そのイメージをうまく引き継ぐことで、旧来のキャブオーバータイプのミニバンから脱却したいユーザーの乗り換え需要を獲得することに成功。ミニバンを「商用バンをベースにした家族向け乗用車」から、「走りもデザインも楽しめるオーナーカー」にイメージチェンジさせることに成功したのだ。
走りとデザインを楽しむエスティマは、ミニバン需要に合致しなかった
こうしてエスティマが築いた乗用ミニバン市場はその後、高効率パッケージとファミリー層向けに特化したユーティリティで成功したノア(2001年デビュー)や、セダンに代わる高級車というポジションを確立したアルファード(2002年デビュー)などの登場によって、さらに大きく飛躍。冒頭で触れたように、現在の日本国内市場においては、なくてはならないカテゴリのひとつとなっている。
ただ、エスティマは、ファミリーカーのイメージが強いほかのミニバンとは異なり、どちらかというと、走りとデザインを楽しむパーソナルカーとしての役割が強いモデル。熟成されたミニバン市場の中ではややニッチな需要を満たしてきた。
海外でも、エスティマはヒットしていたとはいえない状況で、北米市場では初代限り、欧州でも2代目までしか販売されなかった(オセアニアなどその他の地域では、3代目も販売された)。トヨタの立場からすると、世界的に売れているとはいえないエスティマをラインアップから外すのは仕方のないことだったのだろう。こうしてエスティマは、2020年に販売が終了に。パーソナルカーとしてはSUV系が人気となっていることや、少子高齢化でミニバン市場そのものが減少傾向にあることも、エスティマの生産終了に関係しているに違いない。
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そんなエスティマが今後、バッテリーEVで復活するのでは、というウワサがある。バッテリーEVとなることで、初代エスティマがMRで実現したかった「本来のエスティマ」の乗り味を現代の技術で達成できるか!?? 期待したい!!
【画像ギャラリー】ミニバンの概念に革新をもたらした、トヨタ「エスティマ」の最終型(3代目)(11枚)画像ギャラリー
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