■「できるけどやらない」健康的なクルマ
スイフトスポーツは4世代、18年の歴史を持つ。それだけでも立派なものだが、編集担当によると、前身のカルタスGT-iまで含めると、その歴史は30年以上になるという。
みんな途中で店を畳み、若者向けのスポーツモデルをないがしろにするというのにスズキは継続する。その姿勢は立派というしかない。
スイフトスポーツはひとり荒野を走っているようなものだ。そうすると普通は天狗になったり偉そうになって、カラオケではほかにお客さんがいるにもかかわらず、ひとりで5曲くらい続けて歌うような人になってしまいがちだ。
しかし、スイフトスポーツにはそういう感じがない。1曲歌ったらちゃんとマイクを次の人に渡し、ニコニコしている雰囲気がある。GT-Rだったら閉店まで歌い続けているだろう。
また、カラオケは別として、86/BRZも何かを突き詰めようとしている「重さ」を感じる。スイフトスポーツのようなコンビニ感覚の「軽さ」はない。
コンビニのスイーツとか焼肉食べ放題とか、ちゃんと次の客にマイクを渡すカラオケなどといっていると、ぜんぜんスイフトスポーツを誉めていないように思えるかもしれないが、そうじゃない。スズキはスイフトスポーツに対するユーザーのニーズが完璧にわかっているといいたいのだ。
スイフトスポーツが好きな人は、コンビニの160円くらいのロールケーキでどれだけ美味しいかが重要で、有名な店の2000円のロールケーキを求めているわけではない。それをスズキはわかっている。
こういうクルマ作りをひと言で表わすなら「健康的」となる。
200万円を切る価格で自動ブレーキをはじめとする先進安全機能がすべて付き、走りは軽く爽快で、パワーもあって内外装の質感も充分満足できる。
そしてここが肝心なのだが、恐らくスズキは、あえてそれ以上の性能や質感を求めず、寸止めしているのが「健康的なクルマ」と感じられるポイントなのだ。
できるのにやらない。スイフトスポーツはすごくいい立ち位置にいるクルマだと思う。
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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