動画投稿サイト「YouTube」で公開されている動画が注目を集めている。
トヨタディーラーの「岡山トヨペット」が、昨今問題になっている「あおり運転」について、あおり運転が引き起こされるまでの加害者の怒りと被害者の恐怖を紙人形を使って表現したアニメを作成したのだ。
自動車ディーラーがあおり運転についての本格的な映像を作ったというのも珍しい。またこれがドライバーの心理状態を実に上手く描いている。
削除:※本稿は2019年6月のものです
文:ベストカー編集部/写真:TOYOTA、岡山トヨペット、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年7月26日号
■ラストにかけてはまるでホラー!?
動画は、ランニングをしている男性がベルを鳴らしながらすぐそばをすれ違う自転車や、のんびりと前を走る親子に苛立つシーンからスタートする。
その後、苛立った男性は体の色が白からオレンジ色に、形が炎の化け物のように変わって、親子を追いかけ回すといったストーリー。
最後に、「怒りは、速度で、凶器に変わる」というメッセージとともにブレーキ音や衝突音が鳴り響き、追突したクルマが描かれる。
ラストに近づくにつれ怒りが頂点へと達していく加害者の心理描写はかなりショッキングで、ホラー映画のようだ。
この動画が作られたいきさつとは? 実は、岡山トヨペットは2016年から交通事故ゼロ・プロジェクトに取り組んでおり、今回の動画はその第6弾。
最近問題の「あおり運転」に対して「自動車販売業を生業とする企業として、この悲しい状況をなんとかしたい」と感じていたという。
そこで、今回取り上げたテーマが『STOP ROAD RAGE(ストップ・ロード・レイジ)』。
「ロードレイジ」とは、交通事情に苛立ったドライバーの報復行動による危険運転を意味する言葉で、アメリカでは30年以上も前から使われているという。
それが、日本でもあおり運転で7000件以上(2016年度)が検挙される事態になっていて、大きな社会問題となっているわけだ。
■特設サイトでは危険と怒りに関するアンケート結果も紹介
そして、岡山トヨペットでは特設サイトで、この動画とともに日本アンガーマネジメント協会が提供する「気持ちを落ち着かせるアンガーマジメントテクニック」と「危険と怒りに関するアンケート調査結果(20代~60代の男女ドライバー420人を対象に調査)」も公開している。
そのアンケート調査結果の一部が下のグラフだ。
●危険と怒りに関するアンケート調査結果
この調査結果によると、じつに90.2%ものドライバーが運転中に「イライラしたことがある」と回答。
また、実際に被害に遭った経験があるのか? については、あおり運転や急激な割り込みなどの危険運転をされた人は76.2%と、やはり多い数値となっている。
そして、被害に遭った時の状況のなかでは「軽自動車または小さめのクルマに乗っている時」という回答が39.2%で2番目に多かった。
しかも、このなかの半数が女性で、これは軽やコンパクトカーに乗る女性はあおり運転など危険運転に遭いやすいという結果だといえる。ショッキングな内容だ。
なお、イライラしてしまう状況の最多は「前のクルマの速度が遅い時」。「後続車からあおられた時」や「クラクションを鳴らされた時」に怒りを感じる人も多く、「ロードレイジがロードレイジを生む」可能性が高いこともわかる。
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