クルマ界のあらゆる不思議に迫る! 〜トライク編〜

トライクにヘルメットは必要なのか?

「小石や虫は結構飛んできますね。ツーリングや交通量が多い道路などを走っている時は、特に気になります。高速道路でヘルメットもゴーグルもしないで乗っていたら、走行風で目も開けられないし、虫(ハエのサイズ)がぶつかっただけでも失明します」

 それはなかなかキツイ……。ヘルメットの装着が任意になっているが、その点はどう考えるだろうか?

 「道路交通法が安全性という面で、マッチしていないんです。昔のオート3輪の時代の法令のままで、現代の高速化した乗り物事情から考えると古くなってしまっている。それに、あくまで3輪の場合は被らなくていいと解釈できるだけで、被らなくていいとは言われてないですから」  

 西村氏は、近年の白バイ隊員が胸部と脊椎のプロテクターを装着するようになった点にも触れ、白バイ隊員は絶対にこけないと言われているにも関わらず装着している。こけないから着けなくても大丈夫ではなく、もしもの時にあったほうがいいから着けるに変わってきていると語った。

 「ヘルメットを被ることは、窮屈な印象を受けると思いますが、実際にはヘルメットを被った状態の方が、走行風が耳に当たるのも防げるので、周囲の音も聞き取りやすいんです。日差しの強い渋滞の時や、雨の時などもあったほうが快適なんですよ」  

 トライクはかなり安定していると聞くが、その運動性能から見た場合、ヘルメットは必要なのだろうか?  

「絶対に必要ですね。トライクは確かに直進状態では驚くほど安定しています。居眠りしてしまうくらいです(笑)。ただ、トライク(前1輪+後2輪)は曲がることが苦手で、曲がる時はきちんとブレーキをかけて減速し、立ち上がる時はアクセルを開けていかないと曲がらないんです。ハンドルを切りすぎると、小さい時に、三輪車でハンドルを切りすぎて前輪が引っかかり、外側前方にこけたのと同じように、前のめりにこけるんです」

   では、最近多くなってきた、スノーモービルのような出で立ちの逆トライク(前2輪+後1輪)はどうなのだろうか?  

「逆トライクは下り坂で旋回する時に不安定になりやすく、外側にこけそうになるんです。だから、カンナムスパイダーには対角にブレーキをかけるスタビリティコントロールシステムが搭載されているんです。メーカーが危険性をわかっているから安全装置が付いているんです」  

 トライクが前述のようなこけ方をした場合、乗員はバイクのように地面を転がるのではなく、ハイサイドのように空中に投げ出され、地面に叩きつけられる格好になるので、頭部を保護するヘルメットや、保護具が必須であると、西村氏は締めくくった。


 現状は装着しなくても法令上問題がなく、開放感を満喫できると謳っているトライクだが、乗員保護という観点から見れば、ヘルメットはあるに越したことはない。ぜひユーザーには、安全ということに目を向けてほしいものだ。

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