今年の夏も暑かったですね(過去形で書きましたが暑さはまだまだ続きますし、ぜひとも注意してほしいところではあります)。
今年もクルマでいろんなところにでかけたぞ! という人も多いハズ。
しかしそんな人ほど注意していただきたいのが、愛車に蓄積されてゆく「夏の疲れ」。人が夏バテするように、やっぱりクルマも疲れるし、疲れが溜まればムリがでてくるところもある。
炎天下のもとでも快適に運転できるのは、それだけクルマが負担を代わってくれている部分があるから。愛車の傷むポイントを把握して、しっかりいたわってあげてほしい。
※本稿は2019年7月のものです
文:鈴木伸一、ベストカー編集部/写真:AdobeStock、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年8月26日号
■近年のクルマのエンジンルームは狭い!=より熱もこもりやすい!!!
(TEXT/鈴木伸一)
近年クルマのエンジンルームは狭くなるいっぽう。ただでさえ熱がこもりやすい環境にあるため、外気温の高い夏場は冷却水の温度が上昇しやすくなる。
つまり、熱的に厳しいわけで、エアコンフル稼働での渋滞ノロノロ運転という状況は、クルマへの負担大。熱を発散できずにヒート気味になるので注意が必要だ。
冷却水量のLOWレベルなど、小さな不具合が大きなトラブルを引き起こす要因となるため、冷却水の管理(冷却水量の点検・補充)をキッチリ行っておく必要がある。
エンジンオイルも冷却に一役買っており、劣化や減少もオーバーヒートの引き金となる。
市販車では90℃~100℃くらいが適温といわれている油温を上昇させる要因となるからで、120℃を超えると危険な領域となる。
オイルが炭化して油膜切れを起こし、最悪エンジンが破損することも。猛暑のなか、エンジンに無理な負担をかけると、その危険領域まで達することがあるので要注意。オイル量や劣化のチェックも大切だ。
また、真夏の炎天下、エンジンルーム内は想像を絶する高温となる。外気温34℃の夏日にはエンジンルーム内に置かれたバッテリー液温は50℃にまで達する。
これにより充・放電に伴う化学反応が活発になり、過剰放電を起こしやすくなる。電気を勢いよく吐き出してしまうわけで、劣化したバッテリーだと簡単に上がってしまう。ヘタりぎみだったなら交換しておきたい。
■夏はこんな部分に“疲れ”が溜まる!!!
(TEXT/編集部)
●タイヤ&ブレーキ
高速走行時、温度上昇でタイヤ空気圧が20~30kpaはゆうに高まる。空気圧が規定値より高かった場合、高圧となってバーストする危険性が高まる。
●ボディ
炎天下に放置したボディには紫外線が降り注ぐため、ケアを怠れば色が褪せ、塗膜が荒れてくる。各部に多用されているゴム・樹脂パーツへの紫外線の影響も大。何の対策もせずに放っておけば寿命を縮めることになる。
●エンジン(エンジンオイル&冷却系)
外気温の高い夏場はエンジンの発熱が増えるため、ただでさえエンジンオイルへの負担が増加。劣化したオイルでは満足な潤滑が行えないため、エンジンの回りが重くなったり、アイドリングが不安定になることがある。エンジンオイルは要チェック!
●ライト&電装品関係
エアコンをフル稼働させると電力消費が増大。バッテリーが上がり気味だと電圧変動が大きくなり、電装品の動作に支障をきたすことがある。
●バッテリー
アイドリング時の充電量には限りがあるため、渋滞によるノロノロ走りにエアコンやオーディオ等の使用による電力消費の増大が重なるとバッテリー上がりを起こしやすくなる。
ヘタり気味ならなおさら。注意したい。
●トランスミッション&ドライブトレーン
ATFはトルクコンバーター作動時の摩擦熱でただでさえ高温となるため、夏場にハードな走りをすると限界を超えて不具合を発症することが……。
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いかがだっただろうか。特に近年は異常な気象・暑さが続いている。スマートフォンが使用不能になったりするように、クルマにとって想定外の暑さで想定以上に疲れが溜まっていることは十分あり得る。
すこしでも挙動に「いつもと違うな」という部分を感じたなら、愛車の「健康寿命」のためにも、一度整備に出すことをオススメしたい。
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