歴代Zのなかでも洗練されたスタイルで今も輝きを失せていないのがZ31型フェアレディZ。なかでも1986年10月にビッグマイナーチェンジしたグラマラスなフェンダーとVG30DE型3L、V6エンジンを搭載した後期型の300ZRに当時憧れたものだ。はたして、38年経った今、いくらで買えるのか?
文:ベストカーWeb編集部/写真:日産、ベストカーWeb編集部
■キープコンセプトのS130型に比べて現代的になったZ31型
1978年8月に登場した2代目S130型フェアレディZは、Tバールーフやマンハッタンカラーが好評だったが、ボディが大型化し、排ガス規制もあり、牙を抜かれたラグジュアリーなスペシャリティカーへと変貌していた。
エンジンは2L、NAのL20E型直6がメインで130ps、2.8L、直6のL28Eでも145ps。北米にはL28ET型2.8L、直6ターボがあったが、日本には用意されず、1982年10月に追加されたフェアレディZ初のターボとなるL20ET型2L、直6ターボでも145psだったからもの足りなかった。
とはいえ、北米では相変わらずの人気だったが、日本ではS30型ほどの人気はなかった。それは、L20型直6、L28型直6では役不足感は否めなかったからだ。1982年10月にはフェアレディZ初となるL20ET型2L、直6ターボが追加されたものの、それでも145psでは物足りなかった。当時は、L28改、つまりチューンドエンジンを積んだS130も多かった。カミナリZも懐かしい。
そんななか、1983年9月に登場したZ31型フェアレディZは、丸2灯でキープコンセプトだったS130型に比べて、まったく新しい洗練されたデザインで衝撃的だった。通常のリトラクタブルヘッドランプではなく、ヘッドランプが下に平行移動し、消灯時にもレンズの一部が露出するパラレルライズアップヘッドランプを採用した。
エンジンもⅬ型から新世代のV6エンジンに刷新、2L、SOHCターボのVG20ETと、3LのVG30ETに変更した。1985年10月にはRB20DETを搭載した200ZRを追加、2Lモデルは直6とV6の両方を搭載するおかしな状態があった。この時期のZR系は、高レスポンスとターボラグの軽減を図ったセラミックターボを搭載したことでも知られる。
■1986年10月登場のマイナーチェンジ後のZ31のスタイルに惚れ惚れする
1986年10月、Z31型フェアレディZは、ビッグマイナーチェンジし、力強さと風格を一層高めたエアログラマラスフォルム(当時の広報資料)に大胆チェンジした。当時、筆者は、追加された300ZRのカッコよさに打ちのめされた。
デザインは、カリフォルニア州サンディエゴにある日産デザインインターナショナル(NDI、現NDA/ニッサンデザインアメリカ)が担当した。初代テラノや2代目エクサもこのNDIによるものだ。
エクステリアはキャビン、左右ドア以外のパネルをすべてデザイン変更するなど、北米輸出仕様と同じフレアなワイドフェンダーが装着された丸みのある3ナンバーボディとなった。
流麗かつダイナミックなスタイリングを基本に、張りのある面構成、大きく張り出したグラマラスフェンダー(300ZR、300ZX)により、力強さと風格を一層高めた外観とした。
フード、フロントフェイシア(バンパー、エアダムスカート一体)およびフェンダーを連続した滑らかな局面で構成し、優雅さのなかにも力強さのあるフロントビューとした。
ボンネットの大型エアバルジが廃止され、左側にオフセットされた小型のエアバルジが装着された。ちなみに2Lモデルはフェンダーを変更していない。
リアコンビランプは洗練され、かつ斬新なデザインの横一文字タイプとし、ライセンスプレートを中央に配したリアフェイシアと相まって、幅広感、安定感を強調したものとした。足元は全車に新造形タービン型エアロディッシュアルミホイールを採用した。
また、200ZR-1を除く全車に日本で初めてミラーコートガラス(熱反射ガラス)を用いた「ミラーコートTバールーフ」を採用した。
VG30EのSOHC12バルブから、3L、V6DOHC24バルブのVG30DEへ変更されたが、タービンが装着されていないとはいえ、吸排気系の最適化により高回転までスムーズに回る気持ちのいいV6エンジンだったのを覚えている。このエンジンはMID4にも搭載される予定だった。
■搭載エンジン
プラズマVG30DE/3L、V6DOHC(190ps/25.0kgm):300ZRの2by2、2シーター
プラズマVG30ET/3L、V6SOHCターボ(195ps/31.5kgm):300ZXの2by2、2シーター
プラズマRB20DET/2L、直6DOHCセラミックターボ(180ps/23.0kgm):200ZR-I、200ZR-IIの2by2、2シーター
いっぽう2LモデルはVG20ETがカタログ落ちし、2L、直6DOHCターボのRB20DETのみとなり、200ZR-IIは5速MTのほか、4速ATも選べるようになった。Tバールーフは200ZR-II、300ZRなど200ZR-1を除き、全車標準装備となった。
サスペンションはフロント、マクファーソンストラット式、リア、セミトレーリングアーム式の四輪独立懸架のスーパーキャパシティサスペンションを熟成し、卓越した操縦性を実現した。また300ZRに4WAS(4輪アンチスキッド)を採用し、高い動力性能に見合った制動性能を確保した(当時の広報資料より)。
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