気温度計とクルマの外気温計の誤差はどれくらいある?
実際にどれくらい誤差が出るのか? 気象庁発表の東京の最高気温が35.2度だった8月18日、天候は晴れ、時折雲で陰るような状況。東京都港区の駐車場の気温は38.8度、昼の12時から約2時間駐車した14時に測ってみた。
駐車場はアスファルトで、黒いボディカラーのボンネットの上で手に持った温度計で測ると、81度に達した。クルマの外気温計を見るとなんと40度を指していた。
照り返しの強いアスファルトの駐車場だったので誤差が出たのは致し方ないところか。炎天下の渋滞時などもエアコンやエンジンの熱気でやや高めになるが、ある程度速度が出て風がセンサーに当たる状況になると差は少なくなる。
外気温センサーの設置場所は、概してエンジンやエアコン循環部から放熱を受けにくく、太陽光が直接当たることのないような、フロントバンパーの内側(裏側)がほとんどで、フロントグリル内に設置している車種も多い。
高さについては、地面からの熱が届きにくく、走行風を適切に受けられる位置に、設計上センサーの配線が容易な箇所で、地面から約30cm上方(ヘッドライト位置が目安)に設置されることが多い。
走行風を確実に得ることも外気温を正確に計測するうえでは重要だ。あまり低い場所に設置すると路面からの熱の影響を受けやすくなるので、できるだけ高い位置、たとえばヘッドライトの高さに近いような箇所に設置されている。
結果的には、外気温センサーは各社ほぼ同じ位置に取り付けられていたのだが、むろんそれには理由がある。
気温という様々に変化するものに対して、確実に計測するために取り付け位置を設置環境を入念に吟味していけば、自然と各社一致することになるわけだ。ただ影響を受けないような場所に設置していても今回のテストのように誤差は出てしまうのは致し方ないところ。
ちなみに、一部の輸入車ではフロントのホイールハウス内やドアミラーの目立たぬ箇所に設置されている場合もあるようだがあくまで例外的といえる。
外気温を車内にどう伝える?
では、外気温センサーから得られたデータは、どのように車内(の表示)に伝えられているのだろうか。外気温センサーの機能部品としての成り立ちについて補足しておけば、外気温の変化を“サーミスター”と呼ばれる電子機器を利用している。
わずかな温度の変化によって電気抵抗が変わるという半導体の性質を利用した素子で、温度/電力を測定する自動制御回路などに用いられている。
自動車に使用されるサーミスターには「NTC」(Negative Temperature Coefficient)サーミスターと呼ばれる。温度が上昇すると抵抗値が下がり、温度と抵抗値の変化がほぼ等しいので温度センサーに使用される。
ほかにもPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスター」は、ある温度に達すると急激に抵抗値が上昇するため、温度上昇を検知するセンサーとして使われる。車内の表示機器は外気温センサーに備わるNTCサーミスターから流入する電流を測定し、外気温として表示するというわけだ。
温度の誤差に一喜一憂しないほうがいい
室内に表示される外気温計は、クルマが置かれた状況によって刻々と変化する。長時間高速道路を走り続けていれば温度は下がり、アスファルトの照り返しが激しい駐車場に長時間駐車すれば、温度も上がってしまう傾向にある。
その場の気温と、プラスマイナス3度くらいの誤差が出るのはあまり気にしないほうがいいだろう。ただ、5度以上など大幅にズレている場合はセンサー不良の可能性があるので、チェックしてほしい。
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