■Z3の次に乗るクルマ
BMW Z3ロードスターの初期型に乗っているという読者の方からの、そろそろ幌やシートなどは汚れや傷みが目立つようになり、高回転の回りが悪くなってきたので買い替えるべきかとも思っている、BMWのZ4とアウディのTT(現行モデル)なら、徳大寺さんのおすすめはどちらでしょうか? という質問に応えて。
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走行距離はどのくらいですか? 高回転の回りが悪くなるのは調整で直ると思いますが……。トップやシートは大切にさえ乗ればそんなに傷みません。
クルマは床の間の飾りではありませんから、くたびれてくることも、壊れることもあるでしょう。しかし、乗る時はキチンと乗る、そのことが大事です。大切に乗ることと、キチンと乗ることは同じことなので、一度しっかりと直してやってください。
雪の降る富山でもクルマをキチンと乗れば半年や一年でダメになることはありません。
だから、私はあなたが気になっているというZ4やアウディTTよりも、あなたが気に入っていたのに手放そうとしているZ3をしっかりと直して乗ることをお薦めします。
■リチウムイオン電池の不具合
三菱 アウトランダーのリチウムイオンバッテリートラブルによる生産ストップの話題から、「やはりPHVというシステムがまだ過渡期ということなのでしょうか?」という読者の疑問に応えて。
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私はPHVというシステムに問題があるとは思いません。おそらくリチウムイオン電池もより多くのメーカーが使えばさまざまな問題があぶり出され、解決されるでしょう。だから、トヨタ、日産、ホンダというメーカーが参入し、さまざまな研究と競争が行なわれることが必要でしょう。
もちろん国の積極的な指導と後押しも必要です。
何しろPHVとして販売されているのは、プリウスとアウトランダーだけなのですから、これからPHVというクルマが発展するのは、多くのメーカーからさまざまな車種が登場し、競争することが欠かせません。
■日本車とKERS
フェラーリ・ポルシェが採用したKERS(カーズ・ブレーキング時に排出するエネルギーを回生してパワーに回すシステム)に触れて、日本車での採用は難しいのでしょうか、フェラーリやポルシェといったスポーツモデルがハイブリッドシステムを採用することをどのようにお考えですか、という質問に応えて。
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パワー重視と思えるのですが、私の考えは少し違います。エンジンの最重要問題は効率でしょう。その点でリッターあたりの出力とか燃費はとても重要です。そのため、DOHC化やターボやスーパーチャージャーによる過給が行なわれるのです。KERSは高速車と高速交通が基本でしょう。ヨーロッパのような平均速度の高い国はいいのですが、日本やアジアの国では今のところインフラの問題を考えると必要ないと思います。
フェラーリやポルシェというクルマの値段が高いのもそのためです。年間数千台しか売れなくてもビジネスにできる国とそうでない国があります。どちらがいいかではなく、基本的な考え方の違いでしょう。
ヨーロッパのような文明、文化のあり方がいいのか、日本のような工業国指向がいいかは、その国の国民性が決めることでしょう。
フェラーリ、ポルシェは少量生産のスポーツメーカーです。スポーツカーは例えるなら、F1に近く、トヨタ、ホンダのようなクルマ作りはスポーツカーの生産には向いていません。しかし、トヨタもホンダも日本で楽しいクルマ作りを、とは考えているでしょう。
自動車という道具の根本なのですが、自動車という商品はひとりメーカーの思いつきでは作れないし、理論でもできません。
私はトヨタもホンダも得意のハイブリッドを使い、KERSがなくても安くて楽しいスポーツカーを作ってくれると思っています。
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