■下山テストコースでLSとNXを試乗
そのLSとNXにレクサスが開発拠点とする愛知県の下山テストコースのカントリー路で試乗した。カントリー路はニュルブルクリンクサーキットを模した1周5.3km、高低差75mの厳しいテストコースだ。
まずは4カ所すべてが補強されたLSでゆっくりとコースに向かう。30km/hくらいしかスピードは出ていないが、操舵フィールがいい。加速してコースに入る。現行LSに比べると、ギャップの乗り越しなどでの収束が圧倒的にいい。
横に乗る開発メンバーの方は「これまではボディを強くしようとばかり考えていましたが、土台をしっかり作れば、おのずとサスペンションは気持ちよく動いてくれることに気づきました」と教えてくれる。
100km/h近いスピードでうねるコーナーを走る際も、安心感があり、クルマが小さくなったような感覚になった。
そんなことを話すと、「今回の補強で、クルマの内側に力が加わるのでタイヤの性能を充分に使えるようになりました。だから、運転していて安心感が生まれるのだと思います」と解説してくれた。さらに開発メンバーの方の運転で後席に乗った印象は乗り心地がよく、粗い路面の収束も基準車との違いをはっきりと感じさせるものだった。
そして「土台さえしっかり作れば、ブレースなどで補強するよりも、結果的に軽量化にもつながります」と教えてくれた。
続いてNXに乗り換える。NXは2023年3月の改良でボディのフロント先端とリア後端の補強を行っており、テスト車両はリアのバルクヘッドとセンタートンネルの接合部の補強を加えたものだ。
動き出しからスッキリとした乗り味が新鮮だ。アイポイントも重心も高いので、基準車との差が明確となる。懐の深いサスペンションを手に入れたかのようで、運転に余裕が生まれていることがはっきりとわかる。いつしかスピードも上がっていた。
■すべてのCE(チーフエンジニア)が納得し、レクサスの方向性が定まった
レクサス共通の味を追求する「味磨き活動」はCEたちを実際にクルマに乗せて納得させることが重要だ。彼らが納得し同じ意識を持たなければ、うまくいかない。
当初CEたちには「そこまでやる必要があるのか?」とか「もっと違うところにお金をかけたい」という声もあがったが、試乗すれば見違えるようなクルマの動きに、ひとり、またひとりと同調し、今では改良時やフルモデルチェンジ時に補強を入れていくことになった。
クルマを変えるには、人間が変わらないといけない。なかなか難しいことだが、レクサスは時間をかけてそのスタートラインに立った。
新型BEV用プラットフォームと次期ハイブリッド車用プラットフォームは4つの補強を入れることを前提に開発され、MCなどでも積極的に補強が行われるというから、これからのレクサスは大いに期待できる。これならBEVも画期的は走りを披露するかもしれない。
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