本誌『ベストカー』にて、インパクトの強い話題を取り上げる連載企画『文京区発 写真で見る衝撃の真実』。数ある企画の中から、モンスター田嶋が率いる「タジマモーターコーポレーション」が開発した津波用シェルターの話題をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2013年7月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部
■最新商品「浮揚式津波対策用シェルターSAFE+(セーフプラス)」
静岡県磐田市にあるタジマモーターコーポレーション。ご存じ、モンスターこと田嶋伸博会長率いる、クルマ関連の多角経営企業だ。その本社敷地の一角になにやら奇妙な物体が出現した。
全長6.16×全幅2.33×全高2.3m。ちょっとオシャレなトレーラーハウスに見えなくもないが、頑丈そうなドアと、高い位置に小さな窓があるだけでシンプルなエクステリア。
よーく見ると(よーく見なくても目立っているが)サイドに「SHELTER」の文字が……。
これこそ、タジマモーターコーポレーションの最新商品「浮揚式津波対策用シェルターSAFE+(セーフプラス)」。
モータースポーツ活動で得たノウハウ、知識を結集して開発されたというこのシェルター、かなりの優れモノだ。
最大の特徴は、絶対に沈まない構造。床下に独立気泡の浮体を採用、津波で流されて底を激しくヒットし穴が空いても沈まない。
また復元性が高く、ひっくり返ってもすぐに元に戻ってくれる。浮いたままドアを開閉できるので、救助活動もラクチンだ。
定員は20名。というか20名分のシートが、左右の壁に設置されている。4点式シートベルトがレースっぽくていい!?
緊急避難用なので当然だが、インテリアは素っ気ない。室内には水やビスケットなどの食料が備蓄されているから、沖に流されてもひとまずは安心だろう。
日本の産業は海岸沿いに発達してきた。3.11の津波被害を目の当たりにしても、事業に都合のいい沿岸部からはなかなか抜け出せないのが現状だ。タジマコーポレーションも、まさにそうだ。
遠州灘の海岸線から約500mに社屋を構えていて、東日本大震災級の津波に襲われたらひとたまりもない。
きっと、もっと小さい津波でも被害甚大になりそう。といって、高台に移転しようにも、かなり内陸に行かないと難しい地域だ。
そこでモンスター田嶋社長は閃いた。社員を守るために津波対策用シェルターを作ればいいんだと。このあたりの発想には非凡さを感じる。
設計段階では、平時は乗用車1台分のスペースで邪魔にならないサイズ、形状とし、さらにクレーン付きの4トントラックで運ぶ場合も想定すると、この形になったという。
モンスターにとって、自信作の新製品。需要はあるはずと見込んでいるが、タジマモーターコーポレーション1社では量産化は困難なため、制作を協力してくれる企業を募集中とのこと。
沿岸部に立地している企業の安全管理を担当している皆さん、1社1台ではなく、社員20名に1台準備しておきましょう。
また、被災時に住民を避難させた警察官や消防隊員の最終逃げ場所としての活用も考えられる。沿岸部の地方自治体さんも各1台購入してはいかがでしょうか。
価格は、ベースモデルで300~350万円の予定。
(編集部註:『シェルターSAFE+』は進化を重ねて2024年現在も販売されています。小型タイプの「300シリーズ」462万円、大型タイプの「600シリーズ」745万8000円(いずれも税込)がラインナップ中です)
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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