同じ車種でも年式が違えば明らかに乗り味が違うケースは多々ある。乗り味が違うだけならまだしも、排気量が違うなんてケースもあるから消費者にとっては死活問題だ。
日本車でそのような傾向が強いのがマツダとスバル。どちらもこだわりのクルマ作りをしているメーカーで、その向上心は非常に嬉しいもの。
しかし消費者からすれば「いつ買えばいいのかわからない」という状況にも陥る。なんせ違うクルマのように熟成したり、逆に初期型が好みだったなんてケースもある。
どのタイミングでマツダとスバルのクルマを買うべきか、プロに聞きました。
文:大音安弘/写真:ベストカー編集部
■モデルライフとにらめっこして買うべきなのか?
多くの人にとって新車の購入は、清水の舞台から飛び降りるような一大決心が必要だ。そんな消費者を最も悩ませるのは、値引きよりもタイミングかもしれない。
日本車のモデルライフは、5~6年が一般的だが、その過程では、一部改良やマイナーチェンジなど仕様変更が実施され、商品力の向上と鮮度の維持を図る。
このため、一部改良などは小変更、マイナーチェンジが大変更と認識され、マイナーチェンジを境に、前期型と後期型と識別することが多い。
そのため、我々にとって、デビュー直後を狙うか、熟成が進んだマイナーチェンジ後にするかというのが一つの指標になってきた。
ところが、である。近年、日本車メーカーの中に、毎年ブラッシュアップを図り、時には大きな改良も取り入れる年次改良を行うメーカーが出てきた。それがマツダとスバルの2社である。
例えば、マツダの新車両制御技術「Gベクタリングコントロール」は、アテンザの年次改良で初搭載されている。
いったい、ベストなタイミングはいつなのか。それぞれのメーカーの姿勢も合わせて迫ってみた。
■魂動世代からクルマ作りが変わったマツダ
マツダ広報部によると、年次改良を積極的に行うようになったのは、初代CX-5から始まった新生代商品群のラインアップが揃い始めた2013年~2014年頃からという。
その狙いは、最も新しいマツダ車をユーザーに提供したいという想いからだという。先に挙げたGベクタリングも、アテンザを皮切りに続々と他モデルに展開された。
最も分かりやすいのが、先進の安全運転支援技術「i-ACTIVSENSE」だ。当初、デミオとアテンザを比較すると、機能の差があった。
ところが、年次改良で機能向上を果たすことで、現在では、どちらも同等となっている。これは「小さなクルマでも安全性能に差をつけない」というマツダの考えが反映されている。
つまり顧客がどの車を選んでも、マツダの新技術や機能の恩恵を出来るだけ受けられるように、なるべく早いタイミング、つまり年次改良によってラインナップに進化内容を展開しているからなのである。
■年次改良には30年以上の実績のあるスバル
スバルの場合、年次改良が定着したのは、なんと1989年にデビューした初代レガシィからという。実に30年もの実績があるわけだ。
これによりスバルファンの間では、年次改良車の進化をアルファベット順で示すことも広く知られている。
その年次改良の中身だが、大きな影響力を持つのが顧客からのアンケートだ。それをベースに、商品企画と実験部は、市場ニーズの調査や課題の洗い出しなどを行う。
そこに技術部による新技術や改良などが加えられたものを練りに練り、開発目標として定められる。
そして、すべてをクリアした車両が、改良型として世に送り出されているのだ。
例えば、アイサイトは、Ver2まではモノクロカメラだったが、Ver3ではカラーへと進化、認識レベルが大きく向上し、アイサイトツーリングアシストなどの新機能も生まれている。
因みに、先代フォレスターや先代インプレッサでは、モデル途中でアイサイトのバージョンアップが行われた。
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