STIの提唱する「強靱でしなやかな走り」の真髄、ここにあり! スバル 初代BRZ tS 試乗プレイバック【10年前の再録記事プレイバック】

■今後STIはBRZとWRXをどう棲み分けるのか!?

今年7月発売のWRX STI tSタイプRA。棲み分けのため、STIではBRZは軽量化に向かうべきと国沢氏は提言する
今年7月発売のWRX STI tSタイプRA。棲み分けのため、STIではBRZは軽量化に向かうべきと国沢氏は提言する

 今までSTIの人気コンプリートカーといえば、WRX STIをベースにしたモデルだった。最もスポーティな『Sシリーズ』の場合、エンジンまで大きく手を加えている。

 2代目インプレッサWRXをベースにした『S203』や『S204』のエンジンはノーマルより40ps高くなっているだけでなく、1基ずつSTIの三鷹工場でバランス取りしたうえで手組みされている。高回転域まで引っ張ると、グループNのラリー用エンジンのようなすばらしい回り方をします。

 最近の『S206』は手組みエンジンでこそないものの、320psにパワーアップ。また今年7月に発売した『WRX STI tSタイプRA』のように、WRカーと同じクイックなギアボックスを採用するなど激しく攻めたモデルもラインアップする。

 STIにとってみればカンバン車種だけあり、いろんな意味で過激さが売りになっている感じ。実際“ユルい”仕上げのWRXが出てきてもユーザーは興味を示さないんじゃなかろうか、ということをSTIだってキッチリ認識してる。

 いっぽう、今回のtSはエンジンにまったく手を加えていない。森さんに聞いてみたら「NAエンジンなので10psとか20ps上げても高回転まで回るようになるだけです。かといってターボやスーパーチャージャーを使うことも難しいです」。

 つまり、本格的に取り組まなければ面白くならないということ。逆に300psのエンジンを積むと、今度はWRXとの棲み分けが難しくなってしまう。以上の理由により、BRZは当面エンジンチューンを考えていないそうな。

 個人的には大いに納得できる。NAエンジンのチューニング、手がかかるわりに効果薄い。そもそもBRZのエンジンにターボをつけたら、耐久性や排気ガスまで見直さなければならず、STIというより本社の開発部門の仕事になっちゃう。

 今や環境の時代。むしろBRZはノーマルエンジンのまま楽しさを追求すべきだと思う。軽量化なんかも面白いテーマになりそう。

 1100kgくらいまで落とすことができたなら、性能だけでなく燃費までよくなりますから。

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■スバル BRZ tS主要諸元

・全長:4260mm
・全幅:1775mm
・全高:1290mm
・ホイールベース:2570mm
・エンジン:水平対向4気筒DOHC
・総排気量:1998cc
・最高出力:200ps/7000rpm
・最大トルク:20.9kgm/6400~6600rpm
・トランスミッション:6MT/6AT
・サスペンション:F)ストラット R)ダブルウィッシュボーン
・タイヤ:225/40R18
・価格:366万4500~437万3250円

(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

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