■再び大ヒットが約束されたも同然

メルセデスが苦手としてきた内装の質感は間違いなくクラストップ水準にまで高められ、インフォテイメントも従来のダイヤル式コントロールに加えてタッチパッド式のコントロールも可能になった。
先にアップルが発表したCarPlayも、恐らくはこのモデルが最も早い対応となるだろう。
また、先進セーフティデバイスでいえば、従来のレーダーセーフティパッケージは、ステレオカメラと長短距離捕捉レーダーを統合するインテリジェントドライブへと進化しており、60km/h以下の速度域であれば車線の判別に関わらず、前車の軌道を捕捉し追従側へと操舵アシストを効かせるオートパイロット的機能が追加されている。
新型Cクラスにはオプションで、クラス初採用となるエアサスが設定されているが、試乗は配車の関係ですべて、それを装着したものだった。
と、基本的には乗り心地の側に長けるその効能を差し引いても、このクルマの走りはかつてのメルセデス的な鷹揚さが再び蘇ってきたかのように感じられる。
W204型はライバルの追随に歩を並べてアジリティ=敏捷性を前面に押し出していたが、その印象に比べるとステアリングやアクセル、ブレーキといった基本操作に対するクルマの反応が気持ち穏やかで、かつジワリと奥深い。
全車標準となる可変レシオ型電動パワステはセンター付近に僅かの緩さを感じるものの、斬り込みのフィールは絶妙で、総合的なドライブフィールはEクラスにも劣らないほど艶やかなものになっている。
アジリティに関しては意図的な味付けが完全に影を潜めた印象だ。軽い車重を最大限に活かして自然な回頭性を実現している。
一見柔らかに思えるフィードバックはストロークを深々と使いながら接地面を濁らせないサスペンションの設定からなるもので、コーナーの奥に向かうほどに顔を出すその粘り強さはドライバーの安心感へと直結する。
リバウンド側の制御の巧みさも相変わらずで、多少のギャップでは反動のひとつも感じさせないみごとなフラットライドぶり……と、このあたりはメルセデスの真骨頂といえるだろう。
エンジンは相変わらず額面の仕事をそつなくこなすタイプで、このあたりの色気はBMWにはおよばない。が、新しいCクラスにはそれがどうしたと言わんばかりの堂々とした個性が備わった。
つまりはFFラインの充実により、大黒柱たるFRラインのキャラクターの再定義が行われたとみていいだろう。その伝統的なフィーリングは、W204型が6年余をかけて熟しに熟して辿り着いたそれと一糸で結びつけられる。
もはや彼らに迷いはない。直球ど真ん中のメルセデスとして、新型Cクラスは再び世界的なヒットを約束されたも同然だろう。




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