マツダ SKYACTIV-Xについに乗った! 新エンジンは従来と何が違う?


 最近はバブルといいたいほどのEV礼賛で溢れかえっているけど、そこに一石を投じるのがマツダ。

 内燃機関の可能性に賭ける「SKYACTIV-X」を中心とした技術フォーラムが美祢テストコース(山口県)で開催された。同エンジンは、従来のSKYACTIV-G比で燃費を20%、トルクも全域で10%、最大で30%向上させる夢のエンジン。

 EVシフトが叫ばれるなかで、この技術が実用化されれば、内燃機関の寿命は確実に数十年延びる。それくらい画期的なエンジンなのだ。

 それをトヨタでも、ベンツでも、VWでもなくマツダが実用化する。2019年に発売予定の次期アクセラを筆頭に、マツダは主要車種にSKYACTIV-Xを順次搭載していく見込みだ。

 画期的なエンジンは実際に乗って何が凄いと感じさせるのか? そして、現時点でどのレベルまで達しているのか?

文:鈴木直也/写真:MAZDA
ベストカー2017年11月26日号


実用化の目処ついた!! 画期的エンジンの超精密制御 

カバーで覆われるSKYACTIV-X。
カバーで覆われるSKYACTIV-X。この中にブレイクスルーを実現した秘密が詰まっている

 まず、メディアの興味が集中する圧縮着火ガソリンエンジンだが、これは従来から知られていたHCCI(予混合圧縮着火)と同じものではない。

 理論空燃比の2~3倍も薄い希薄な混合気を燃やすには、火花点火では火炎が伝わらず安定した燃焼が困難。だから、ディーゼルのように圧縮して混合気(ガソリンと空気が混ざり合った霧状のもの)全体を同時に自己着火させる。これがHCCIの基本コンセプトだ。

 しかし、この混合気の圧縮着火は、めちゃめちゃデリケート。マツダの実験では、燃焼室内の温度のバラツキが3℃以内にないと、過大な騒音が出たり、不安定な燃焼を起こすという。

 ベンチでは回せるけれどとても実用車には適用できない。そこでマツダが考えたのが、スパークプラグを併用すること。

 火花点火を“種火”に、燃焼火炎が広がることで周囲の希薄な混合気を圧縮し、ある時点でそれが自己着火する。名付けてSPCCI(スパークプラグ制御圧縮着火)。これが、SKYACTIV-Xのコア技術だ。

 もちろん、スパークプラグを併用したってそう簡単に安定した圧縮着火が実現できるわけではない。

 シリンダー内圧力をセンサーで常時監視し、スーパーチャージャーから送られる空気量と、ディーゼル並みの高圧直噴システムで供給される燃料をきめ細かく制御。やっとこさ実用化のメドがついた、という段階だ。

 おなじみエンジン開発責任者の人見さんによれば「試作車に載せて走り出してからまだ半年も経ってませんよ」とのこと。

 そんなできたてホヤホヤの試作車に我々をよく乗せたもんだと感心するとともに、マツダが今のEV偏重の動きに危機感を持っていることがヒシヒシと伝わってくる。

中低速の力強さは従来の非ターボエンジンと段違い

マツダは
SKYACTIV-Xを載せて走るアクセラベースの試作車

 そんなわけで、あまり過大な期待を抱かずに現行型アクセラベースの実験車で走り出してみたのだが、これが予想外に「ちゃんと走る」のにビックリした。

 走り出したばかりの実験車なんてガタピシいっていて当然で、量産まで長い熟成の道のりが待っている。ましてや、まったく新しいコンセプトのエンジンなんだし……。

 にもかかわらず、走りのイメージはけっこう伸びがあるフラットなトルク特性で、第一印象は上々。

 2Lという排気量を考えると力強さはNA(自然吸気)と過給(ターボ)の中間くらい。現行の量産型2LガソリンSKYACTIV-Gと比べると、よりスムーズで中速トルクが豊かという印象。

 特設のディスプレイを見ていると、パーシャルスロットルではかなりの領域で圧縮着火モードを維持しているようで、そこからのアクセルに対する反応もごく自然で違和感がない。

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